狐ヒトが少ないワケ
受難の歴史があった様です。
翌日クィナとキィーロも交えての情報交換を授業の合間にやる事に相成った様なのじゃが
「そんな馬鹿な。犬耳の見間違いなんじゃないのか?」
とクィナが信じられない。と言った顔で存在を否定されかねい私がおった。
「違うよっ!あたしもリーナもちゃんとあの子の耳も尻尾も見たんだからっ!!」
とアンヌが力説する横でウンウンとリーナが軽く両腕を組んだ状態で頷いている。
ミラはミラでそんな上の方で交わされてる彼女らを後目に私の横で寛いでる。
じーーーーっ。なんじゃ。その興味しんしんな目は。ひょっとしてバレてるのかの?
雛とはいえ格上な相手なだけに多分バレてても仕方がないとは思うんじゃがな。
『念話』スキルとかでリーナに告げ口はしないで貰いたい所ではある。
「しかしなぁ・・・。俺ら『狐ヒト』の『事情』はアンヌも流石に知ってるだろ?」
とクィナが片眉を顰めながら突っ込みらしきモノを入れておる。
「うー。知ってるわよ?だから余計に驚いてあんたに聞こうと思ったのっ!!」
とアンヌが言い返してるみたいじゃが、なんじゃ?その『事情』とやらは。ひょっとしてアレかの?
「まぁまぁ、アンヌも落ち着いて。でもクィナ君もその子の事知らないのね?」
ミィナはミィナで中立な立場に立とうとあわあわしとる様じゃが、
気を使わせてしまってなんか申訳ないのぅ。まぁここで『変化』してみせる訳にもいかんしの。
「あぁ。まぁ皆も既に知ってるとは思うが俺ら狐ヒトの社会は
キィーロの種族同様に女性の出生率が低くてな」
とクィナがキィーロを親指で指しつつ
「女性の方が大事にされる傾向があるからまず単独で外に出る事はない筈なんだよ。
特に俺らの国ではある特定の職にでもついてない限り単独行動はありえない。」
と断言する。
「んー。でも元々こっちの出身ならそれは当てはまらないんじゃないの?」
とリーナが疑問を提起する。
「そうよね?幾ら過去に国が滅びかけた事があったとは云え生き残りがいない訳じゃないんだし?」
とミィナも首を捻っている。
そう。クィナの居た国ではどうだったかは知らんが、こちらの周辺の歴史では
かつて『狐ヒト』の国が滅びかけた事があったのじゃそうじゃ。
例えるならオークやらに襲われるエルフ並みにむやみに狩り立てられる『狐ヒト』達。
土地問題だか領地問題だか知らんが森を開拓するのに邪魔だったそうで、
それこそ『狐狩り』な感覚で駆逐寸前までいったそうなんじゃが彼らが居なくなりかけた事で
生態バランスが崩れまくり、気付くのが遅ければ共倒れになってた位なそうなんじゃが・・・
今はミィナの生まれ育った村にだって『狐ヒト』は普通に暮らしてる訳じゃし
一応は回復傾向にはある様じゃがな。
「いや、その子の特徴が問題なんだよ。外に出るにしては『幼すぎる』んだ。
・・・まぁ『例外』もない訳じゃないから断言は出来ないけどね。」
とクィナなりに思う所があるらしい様子。
リーナならクィナが抱える問題とかその辺りの背景について詳しい事を知ってるかもしれんな。
『乙女ゲー』への『転生者』なんだし。もしかしたら私もクィナに聞く機会あるのかのう・・・?
邪魔だからと狩り立てた結果自分の首を絞める結果になるのは何もヒトVS魔属な例でも限らないという事ですね。かつては狐ヒトの勇者なんてのも居たのかも。




