狐耳はレアな様です。
気分は冒険者・・・とまではいかなかった様です。
はぁ。ひとしきり凹んだらとりあえず落ち着いたのじゃ。
『ストレージ』から旅人の服を一着出して着てみたけど、
手に入れたガヴリンが加工したのかあるいは元々子ども用のだったのか
ちょっと大きめだったけど問題無く着れるみたいなのでほっとしたのじゃ。
これで一応マントを羽織らんでも構内はうろつける様にはなったのはいいんじゃが
狐ヒトに『変化』してもミィナ達と同年代の姿にはなれんのは痛いの。唯のレベル不足かも知れんが。
とりあえずお昼休み時間終了まで時間が無かったので『変化』を解き、脱げた服を回収し撤収。
着た状態のまま『変化』は出来ん様じゃがまぁ致し方あるまい。
放課後の空き時間は『変化』で構内散策としゃれ込んだのじゃ。一応マント着用したままでじゃがな。
『変形』と『変化』ではバランスの取り方も当然違うし2足歩行にも早く慣れたいしの。
そうこうしてたら2度ある事は3度あるというかまたミラを引き連れた
リーナに遭遇してしまったのじゃ。今度は何故かアンヌまで一緒におるんじゃが、
『変形』で誤魔化してなくて正解だったかもしれんな。恐らく一目で中身が私だとバレてたじゃろうし。
ヒューイは流石にお留守番かの?いなくて正解だったかもしれんな。
しかしリーナの方からこうもしつこく絡んでくるという事は『乙女ゲー』での
『イベント』絡みって事なんじゃろがやっぱ「私」も出現してたんじゃろうな。・・・この姿で。
「あ。この子ね。例の噂の正体不明の子って。こんにちわー。」とアンヌが巻き尻尾を振りながら
気軽に話しかけてくる。
むぅ。生産職系に顔が利くアンヌなら私の事も知ってるだろうと思ったのか?リーナよ。
「・・・コンにちわなのじゃ。」一応警戒しつつ返事を選ぶ。うっかりアンヌ等と名前呼べんわ。
ん?と小首を振られたが見覚えとか聞き覚えなくて当たり前じゃからの!?
「のじゃ?随分変った喋り方するのね?留学生の子かしら?」とリーナと顔を見合わせるアンヌ。
「んー。そういえばお昼の時もそんな喋りしてたわね。方言みたいなモノかしら?」
とリーナも首捻ってる。というかあれ聞き覚えてたんかぃ。油断ならんのぅ。
うぅ。アンヌの鑑定眼がさっきから気になって仕方がないのぅ。やむをえん。
「パサリ。」マントのフードを下してついでに尻尾をマントの外に出してみる。
「これは失礼したのじゃ。さっきのは何か変な言い方じゃったかのう・・・ん?」
・・・あれ?固まっとる。てかリーナまで律儀に固まってるのは何故なんじゃ?
リーナの足元ではこちらを観ていたミラが2人の様子に気が付いて2人を見上げて小首を傾げてるし。
「狐・・・耳の女の子?」とアンヌが目を白黒しとる。
「たぶん・・・」おぃ。台詞が棒読みじゃぞ?リーナよ。なんじゃ?固まってるのはフリかの。
「・・・あ、ごめんなさいなのじゃ。そろそろ帰らないといけなかったのじゃ。失礼するのじゃ!」
と2人が固まってる間にその場から逃走した。
『変化』を解いてミィナの居る仮宿部屋に駆け込んだ時の慌てように
ミィナに少々怪訝な顔されたが上手く誤魔化せたとは思う。
しかし『狐耳』とか言っておったがひょっとして、私ってばレアだったりする!?
『狐ヒト』の女の子は『けも耳』の中でも本当にレアなのかどうなのか。次回はその辺りをちょっとつっついてみようと思います。