マントの中で怯えるモノ
ソラ視点です。
私は自らの身体を包むマントの中で進退窮まってしまって困っていた。
よりによってリーナに見付かるとは付いてないのじゃ。
ガヴリンの巣の近くの地下で見つけた『魔石の破片』で『変化』スキルを
解放したものの、案の定というか、そこで躓いてしまっていたのじゃった。
『変化』スキルそのものは強力でな。今まで出会った事のある種族になら
どんな姿にもなれる。・・・その姿のスイッチ?が『ON』になってればの。
ん?どういう事かって?要はの。『変化』するにも『魔石の破片』で変化先を解放しないと
まったくもって使えないスキルだった。って事なんじゃよ。
(スキルは解放出来てもその先が使えんのではどうしようもないではないか。)
じゃが運がいいのか悪いのか、私の手元には使えそうなアイテムとスキルがある。
まずは『軟化』と『硬化』を駆使してかつてやってみた様に獣人形態へと『変形』する。
学園の探知魔法はスキルを複数同時使用すると反応してしまうので
少し使用する時間をずらしつつじゃがの。
ちなみに『変形』の際には女子トイレの個室を使用する様にしとるよ。
うっかり見られて大騒ぎにでもなったら困るしの。
んでもって『変形』したら今度は『偽装』で生徒の容姿っぽくして『擬態』完成という訳じゃ。
(じゃがの。この方法には重大な欠陥がある。姿形は似せる事は出来るけれども
『大きさそのものはそれほど変えられない』という事じゃな。)
背の高さだけならパーツを伸ばしたりする事でミィナ達と遜色はない位にはなろうと思えばなれる。
じゃがバランスの悪さは誤魔化せんからのぅ。触られたりしたらまずアウトじゃし却下。
これまた試行錯誤の結果、もっとも安定した姿になったはいいがそれでもちっさい女生徒の姿と相成った。
じゃがそれではかえって注目されそうなのでマントを羽織ってみたんじゃが、そのせいなのか
『どの学年にも属さないマントを羽織った幼い獣人の女の子が校内を時々うろついている。』
なんて噂が生徒達の間で流れる様になってしまったがの(苦笑。
後、校内の一人歩きの件なんじゃが、休み時間やら放課後の短い空き時間を活用。
無論ミィナには痺れがとれて動ける様になった初期の頃に身振りやら甘えたりで
リハビリがてら休み時間内の単体行動の許可は貰って居るので問題はあまりない。
まぁ行動範囲は校内だけじゃがな。学園外は距離的にも無理ありすぎるので行った事はない。
さて、さっきはうっかりリーナに『魔石の破片』が欲しいと言ってしまったがパンの方が良かったかの?
購買でもアイテム売れば買い食いは出来る事は知っとるが『素材』は無茶じゃったかな?
なんかミラにも顔を見透かされてるみたいじゃし早く此処から離れたいんじゃがの。
『擬態』で買い物しようとしたソラに迫る身バレの危機。リーナとミラの好奇心をどうかわすのか。




