残り物には福がある
穴に落っこちた様です。
そこにあったガヴリンの巣の残骸はその殆どが土に還り掛けていた。
錬金術師系の生徒達の集大成たる中級魔力回復剤の
素材を3人が思い思いに採取している。
ミラはリーナの周りで周囲に睨みを利かせておる。
ヒューイは上空で『偵察』をしている真っ最中。
んでもって私はというと・・・
細かく砕けた瓦礫の合間を縫って薬草を探しに行く途中で何かを踏み抜いて
地下にあった固めた土の通路の様なモノに落ちてしまっていたのじゃ。
(うーむ、やけに狭いとこみたいじゃがガヴリン用の隠し通路か何かかの?)
ここでは「声」を出しても問題ないじゃろうし久方ぶりに「声」を出して喋ってみるとするかの。
「あーあー。うん。問題なく喋れる様じゃの。」
カラカラと小さな小石が落ちてくる地上への出口からの光だけでは周りは良く見えんな。
スキルには『暗視』とか無いし『浮遊』でとっとと外へ戻るべきか?いやしかし・・・
念の為に通路の片方に行こうとしてみようとしてものの、
そっちは崩れた残骸で埋まっておったのでそっちに行くのは諦める。
もう片方の方は少し曲がりくねった固めた土の通路が分岐する事なく細々と続いており
『突進』を使って突き当たった先の小部屋の様な所にすぐにたどり着いた。
「なんじゃ此処は?元は隠し部屋だったのかの?」
歪んだ扉すらないその部屋の中には袋らしきモノが何個か雑に転がってるだけの様だった。
「暗くて良くは分からんが、一応『鑑定』を使ってみるとするかの?」
と無造作に転がる袋の総てに鑑定を掛けていく。
その内容はというと・・・
『魔石の破片×100』『薬草×50』『旅人の服×4』『剣×4』
『角兎の魔石×10』『ガヴリンの魔石×5』『旅人のマント×2』
『中位の袋×3』『銅貨×100』
という物じゃった。暗がりを透かして見ると他にも袋はある様じゃが崩落に押しつぶされていて
持っていけそうなのはこれだけじゃったな。ちょっと残念。
これらって個体で貯めた物なのかの?良く分からんがへそくりみたいなモンかもしれん。
『ストレージ』なんて便利なモノをガヴリンが持ってるかどうかは知らんが用途は似たものかも。
この部屋にもはや2度と現れぬであろう元の持ち主に思いを馳せつつ、全て回収させて貰う。
ついでに私は『吸収』した『魔石の破片』を全て使って『変化』を開放し、超特急で地上へと戻った。
ミィナ達にはちょっと帰りが遅くなった事を若干不審がられたものの
アンヌがヒューイから私が穴に落ちて這い上がって来た事を教えられて皆して腹を抱えて笑ってたので
そこらへんは旨くごまかせたと思う。
新機能『変化』が開放されました。『大きさ調整』が開放されてないので今はまだ一定の大きさにしかなれない様ですが、それでもソラには試したい事がある様で!?