邂逅イベント その③
一人ではクエスト回させては貰えてはなかった様です。
ケインが即席魔法剣をブンブンと降り籠った熱量を振り払うと
金色のままの剣を握ったままリーナの後方を窺う。
「グゲギギギギッ!!」「ドゥッ!!」
どうやらあちらの方も決着がついたらしく、真っ赤な色に染まったセイバーを
片手に持ったルゥスが茂みの向こうからテクテクと歩いて来た。
「ほぼ同時決着か・・・。」とケインが呟く。
ルゥスはそんな彼には気にせずブンとセイバーを1回振ると銀色に戻ったそれを
鞘にしまった。どうやら彼は単独で魔法剣が使える様だ。
「・・・そろそろ魔法剣位自分一人で使える様になった方がいいぞ。ケイン。」
とルゥスがケインを感情のこもってなさそうなジト目で見つめる。
魔法剣。本来は魔法を剣に『吸収』して属性剣となして敵に斬りかかる技法。
ケインが使ったのはミラのブレスを吸収して行った物なので派生ではあるが
それもまた魔法剣の一種なのであろう。
「言われなくても。」
ルゥスはケインの剣に『吸収』されているモノが他者からの付与によるものだと
見抜いたらしい。まぁ籠ってる魔力の質を観れば簡単にバレる事なのだろうが。
なんとなくバチバチと2人の目の間に交わされる火花を幻視するリーナ。
「2人共、危ない処助けてくれてありがとう。ところで何でこんなトコに居るの?」
と彼らのにらみ合いを逸らす為に首を傾げてみせる。
オークもそうだが何故2人が現れたのか。確か『イベント』でクエスト中に2人に助けられる
というシチュエーションがあった筈だが、まさか今回がソレだったとは思わなかったので
地雷・・・いや間違った選択肢を踏まない様に慎重に答えを選らばねばならないが、
つい聞いてみたくなったのである。
「あ、いや君ももう知っているだろうけど、例の噂の件でね。」とケインが苦笑いする。
「貴族達の中には悪乗りして遊び感覚で魔物を君にけしかける輩もいそうなのでな。」
とルゥスが周りを見回す。
「我々もクエストがてら君の周りを警護させて貰ってたんだよ。」
とケインがあっさりと白状する。
「警護・・・?全然気が付かなったわ。って、我々ってまだ他にも居るのっ!?」
とリーナも驚いて周りを見回してみる。
魔物をけしかけるってのは『挑発』やら『誘導』をやるヒトが居るかも知れないって
事だろうから、それを探ってるヒトもここから見えなくても周りに居ると言う事だ。
「なんか知らない間に大事になっちゃってるみたいね。クエスト受注したの失敗だったかしら。」
とリーナが頭を抱える。
「いや、そうでもない。」とルゥスが簡潔に答える。
「それに学校内と外では対処の方法も異なるしな。君も学費とか納める都合もあるだろう?」
とケインもフォローに入る。
学生がクエストをやる目的の一つにはそういう諸経費を自分で稼ぐという理由もあるのだ。
それはリーナとて同じ事。他人よりは稼げている自覚はあるが限度もある。
「・・・なんか囮にでもなった気分だわ。とりあえずクエスト終了させちゃってから考えましょう。」
とため息を付く。
「では、我々も一緒に回ろう。」と当然の如く付いてくる2人と1匹を引き連れてリーナは
その日のクエストを終えた。
規模は小さいですが、採取クエと同様にリーナを中心とした警護役が複数付いていた。という一種のネタバレでした。これが龍の雛持ちの特権か(何かが違




