クエスト報告はイベントフラグ
どうやら大規模イベントが発生する様です。
ミィナ達3人は中級魔力回復薬の素材集めを
早々に切り上げると校内のクエスト報告所にガヴリンの発生を報告した。
ガヴリンの装備を確認している時に毒壺を発見した為、一応全員解毒薬を飲み
念には念を入れて街の入り口で『解毒』と『浄化』の呪文も掛けて貰ってもいる。
クエスト報告所で報告を受けた先生が素材を受け取った後、
彼女達の回収したガヴリンの装備や魔石を鑑定し、すぐさま学園長室に
それらを持ってすっとんでいったのは当然の流れとなった。
リーナの状態の件もあり今回のクエストはかなり安全な行先のが選ばれている。
そんな所に複数のガヴリンが現れた事自体は特に異常では無い。
何故なら彼ら『魔属』もヒト同様に生活しており、使う素材も似通っているからだ。
だがそんな所の近くに巣が構えれた可能性が高いとなると話は異なってくる。
しかも魔力回復系の素材の確保場所近くだという事で緊急を要する案件になる事は避けられなかった。
ガヴリンの脅威度自体が低いのは彼らが魔力切れしやすい事もあっての事だが
それを即回復出来うる素材の採取の場近くに巣を構えられたとなると話は別だ。
ヒト同士で結ばれる様な素材の取り過ぎの規制やら駆け引きは彼ら『魔属』にはまず通用しない。
ちなみに『魔属』というのはガヴリン等のヒト型魔物の総称である。
彼らの社会は基本実力主義。ヒト側とは一応共存共栄の立ち位置ではあるものの、
ある程度の実力がある者以外は基本放置されヒトと隣人?同士になった連中との諍いですら
長命種の多い彼らの社会にとっては暇潰しの余興程度にしか思われていない。
そういう意味では貴族社会と構図は似てはいるがやはり異質であり
こういう事象を発見した場合には余程余裕のある『魔属』や
暇を持て余した『魔属』達がちょっかいを掛けてきそうもないレベルの内に
ヒト側が対処しないとならない。
ガヴリンの巣程度ならそういうちょっかいがまず無いだけ有り難いものの
放置された側とすればたまったものではない。今回の件は場所が場所だけにやっかい過ぎるのだ。
だが報告を受けた学園長にとってはこの一件は朗報となる。街のギルド経由の情報と異なり
情報料を払う必要は無いし、回収した物品の取り分やら売却による増収益、
さらには国や貴族達に対する信頼度の回復も図れる見込みもあるとなっては見逃す理由も無い。
ただちに腕に自信のある生徒や時間に余裕のある先生方による偵察隊が組まれ
巣の位置が特定されると国や貴族達や街のギルドへの根回しと同時に
正式に校内クエストとしてガヴリンの巣討伐のクエストが発令されるまで時間は掛からなかった。
こうなってくると校内は俄然やる気になってくる。なにせ滅多にない実力の発揮の場だ。
学園卒業後の評価の底上げにも繋がる様な案件ならば彼らの親達が反対する様な理由も殆ど無く
校内上げての一大イベントとして盛り上がって行く。・・・約1名を除いて。
クエストの掲示板の前で凹んでいたのは無論リーナである。
よりによって自分が選んだクエストがそういうイベントの引き金となってた事は
彼女も予想外だったのだから。
幸い女子達は実力のある者以外はほぼ後方支援。だが友人達の中には当然男子も居る訳で。
自分の行動が彼らの今後にも拘わってたとなれば尚更一人猛省しまくりなリーナだった。
(息抜きのクエストの筈がこんな事になるだなんて・・・最悪。)
だが彼女自身も止まっては居られない事は百も承知だ。
せめて自分の出来る範囲で友人達を助けれる事をしなければ。そう密かに決意すると
トボトボと仮宿部屋へと帰って行った。
リーナ達が遭遇しなくてもガヴリンの巣退治のクエは発生しますが今回は早期発見という事で名誉回復を図りたい学園側にとっては美味しい話になりました。リーナ「なんかなっとく出来ない・・・」




