クラスチェンジとレベルアップ
アンヌ視点です。まずはヒューイから。
ソラがミィナの指示を受けガヴリンを倒しきり、
ヒューイが周囲にガウリンの後続がない事を確認して
高度を下げてこようとした時それは起こった。
私達の目の前で1羽と1匹の『召喚獣』がそれぞれ光に包まれていく。
「これって。クラスチェンジの光!?」と上空を見上げたわたしは息を飲む。
それは『召喚獣』に許される『特典』。
一定の経験値と条件が重なると実行される『変異』。
今までより『格上』の存在になったり、またある時は失われし種へにもなれると云われる変換儀式。
ある程度の実力のある『召喚士』なら変異の最終決定権は術者にあるけど
今のわたし達にはそんな実力は無いからヒューイ自身が『変異』先を選ぶ。
一方のソラはと云えば光り方からみたらレベルアップの光の様で、
ヒューイ程の輝きは見られない。・・・残念。ソラの『変異』も見たかったなぁ。
光に包まれたヒューイは地上との距離を測り損ねたのか上空へと舞い上がり直し
再び下降を開始した。
光に包まれたままのヒューイはいつもの様に差し上げたわたしの腕に羽を休めると
光がポワっと小さな粒となって消えて、今までとちょっと様子が変わったヒューイがそこに居た。
「わ。何か少し白くなってる・・・。」
今まで茶色のいかにも猛禽類っぽい色が少し減退しており逆に羽毛の模様がすこし濃くなっている。
良く見ればその模様は属性紋と呼ばれる神聖文字にも見えなくはないが、今はまだ良く見えない。
でも戦闘に入る前よりも明らかに魔力の循環が前より良くなってるみたい。
「これってミラに貰ってた魔石の効果もあるのかな?『変異』したのは間違いないけど。」
とミィナの足元に寄って来たソラをみやる。
そいえばソラも魔石貰ってたよね?あれも後々ソラの『変異』に関わってくるのかな。
ソラは多分汚れてしまったであろうナイフの柄を何回か咥え直していた様であるが
口の中で綺麗にしてたみたいで刃の方を咥えてミィナに返してる。そういえばそれミィナのだっけね。
「ありがとソラ。レベルアップおめでとー!クラスチェンジじゃなくて残念だったねー。」
と腰を屈めてナイフを受け取りソラの頭を撫でている。
にしてもソラって随分大立ち回り出来るんだね。少し無茶っぽい戦い方してたみたいだけど。
「うーん。ミラもその内レベルアップとかクラスチェンジするのかなー。」
とソラを撫でるミィナやヒューイを見比べていたリーナがすぐ隣で呟いた。
あ。そういえばミラには今回は何も起こらなかったっんだっけ。とチラ見する。
ふわぁぁぁとリーナの腕の中で大口開けて欠伸をしたミラは「ん?」という顔でわたしを見た。
う。畏れ多いから頭ガジガジ甘噛み攻撃はやめて欲しい。
ヒューイは自分の変化に気が付いたのか毛づくろい始めちゃった。
その内リーナみたいに「ウィンドカッター」とか使いだすかもしれないね。
次回はソラのステータス。レベルアップ時のファンファーレはソラ本人にしか聞こえない仕様という事にしておきます。




