お見舞い
意外と元気そうだけど
牛騒動の結果、結局保健室だけでは生徒達が収まりきれず、
学園寮の彼女らの借部屋をも使っての大回収となってしまったのじゃ。
「回復師」の女生徒達が頑張ってくれてたお陰で
大怪我を負った者はいなかったが魔力の使い過ぎでへたる者が続出。
超特急で用意された「素材」を使って門扉やら閂を新調された牛舎
が再利用可能になるまでには3日も掛からなかったものの、
それでぶっ倒れる生産職系の生徒まで居たというのだから被害の大きさが分かるという物じゃの。
今回の件は学園側には責任は無いと上で判断されたので先生方は生徒のフォローに
謀殺されるだけに留まったのが不幸中の幸いと云った所か。
(ただリーナの腕はいまだ翼の形態に近いままなんじゃよなー。)
『翼変化』はそうそう気軽に行える行為では無い。という事で
それを知ったミィナもアンヌも改めて友人の状態が良く無い事を理解して部屋に押しかけたんじゃ。
「そんなに心配しなくたって大丈夫よ。あ、ほら、『翼変化』も大分解けてるし?」
と部屋に備えられた簡易台所ユニットで友人達を迎え入れたリーナがお茶を淹れつつ
見舞いと称して突撃して来た彼女達に羽が残る腕を見せつつ苦笑する。
あの後『採取』クエでひっくり返ったりした女生徒達は大事を取って
寮の借部屋待機か保健室行き。なのでミィナもアンヌも本来ならば
各々の部屋で待機してるべきなのだがリーナの事が気になって様子を見に来たのである。
「でもまだ腕とか元に戻りきれていないんじゃなぃ。ホントに大丈夫?」
とミィナが不安気にリーナの翼や少し小さくなりつつある尾羽を見やる。
「直接『牛』とやり合ってた訳じゃないし、この程度なら平気よ。そっちの方が大変だったでしょ?」
とお茶を入れたコップを来客用テーブルの椅子に座るミィナとアンヌの前に置き、
お茶を入れたポットから自分のコップにお茶を汲む。
アンヌと言えばミラにちょっかいでも出したのか頭に載られてまたガジガジと甘噛みされてるご様子。
「ミラを預けて貰えたのは光栄なんだけど、先生方の盾にされるとまでは思わなかったよ~。」
とびみょーに凹んでるアンヌが人使いの荒かったであろう先生方に文句を呟いた。
「でも良くワタシの『特性』に付いて分かったわねー。あ、ミレーヌ様から聞いたのね?」
とリーナがミィナに聞いて来た。
(そぅそぅ。今度の騒動は当然というか貴族なクラスの方々の耳にも入ってての。
ミレーヌもリーナの翼に付いて思う所があったのかワザワザ教えてくれたんじゃよな。)
「うん。『翼変化』だっけ?本当はもっと大事な行事とかの時でないとやらない様なモノなんでしょ?」
とミィナが教えて貰った知識と当時の状況を思い出しながら聞く。
そういやあの時、他の鳥族な子達も目ぇまん丸くしてリーナの飛翔を観ていた様な・・・
「大事な行事って言ったってお祭り事とかそんなんだよ?あの状況ならやっぱワタシはあれやるわね。」
とよっころしょとばかりにベッドに腰掛ける。
「でも・・・・」と今度はアンヌが口を挟もうとするもリーナがそれを制する様に言う。
「行事とかなんかよりも皆を守る事の方が大事よ。少なくともワタシにはね。だから気にしないで。」
とリーナがにっこりと笑う。
「それよりもさ。ミラがアンヌに甘噛みするだなんて結構信頼されてるわね?」
とリーナがアンヌの状況に突っ込みを入れる。
因みに私とヒューイはリーナの部屋のベッドの脇の棚の上で待機中じゃ。
こーゆー所の造りはミィナ達の部屋と共通だから、それ以外の場所にはそうそう留まっていらんしの。
「えー。これって信頼されてるって言うのー?抗議されてるかと思った・・・」
とガジガジされ過ぎで涎まみれになりつつある頭部を気にするアンヌ。
「まぁ確かに抗議も入ってるでしょうけど愛情表現みたいなモンだし。ワタシもたまにやられるわよ?」
とお茶を飲みながら一息入れるリーナ。
んー。ただ単に味と歯ごたえが気にいっただけな気がしないでもないが、喰われんだけマシかの?
『翼変化』にはそれだけリスクが掛かるという事ですね。ハーピーとは違って常時翼化は出来ません。
完全鳥化?二次創作じゃないのでそこまではちょっと・・・。 6/10描写が足りない分を加筆しました。




