事後処理中
牛さん達回収中です
青空の元、鼻に付けた鼻輪に付けられた綱で数珠繋ぎになった
『牛』達が曳きたてられていく。「モゥゥゥ」「ブモモ」「ブヒィィィイ」
ガラガラガラ・・・。氷漬けになった『牛』は荷車に載せられ
『牛』担当だった男子達の班がヒィヒィ押したり曳きながらの草原からの搬出だ。
「雄牛の牛舎が暫く使えないっ!?どういう事だっ?」
と指示する先生の一人が報告に来た男子生徒に怒鳴っている。
「牛舎の搬入口の閂や門扉が完全に吹っ飛んでいるんです。『修理』では間に合いません・・・」
と粉砕され切れ端になってしまった閂だか扉だったらしき木片を手元に持って説明する生徒。
『牛』達が行く脇の方では邪魔にならない様にしながら俺様王子がパーティー仲間と
何事かヒソヒソと話し合っていたが王子と護衛を数名その場に残しそ知らぬ顔をして解散していく。
向かった先はと観れば魔力を使い過ぎてへたってしまった者や怪我をした者を治療する
『回復師』クラスの子のサポートに回ったりしつつ情報収集をしている様である。
(ふむ。先生方だけでは任せておけぬと判断して独自に調査する事にしたのかの?)
と他の女生徒達に混じってへたっているミィナの傍で待機しつつ私は用心深く観察する。
こっちはすっとぼけた顔だから観てるのバレても表情は読めんじゃろうが
『目力』は隠しようがないしのぅ。
そうやってコソコソ見回してたら別な隅の方からリーナがヘロヘロと歩いてくるのが目に留まった。
あ。やっぱしかなりグロッキーの様じゃの。翼も手だか腕だかにはまだ戻っておらんし。
そういや鳥な尾羽も腰の辺りからおっきくはみ出してるが普段はもっとちっこかった気がする。
リーナは余り目立たぬ様にミィナの傍に慎重に歩いて来るとパタンと座り込み
「ミィナァ、大丈夫~?怪我してなぃ~?」と間延びした声をミィナに掛けた。
ミィナもへたったまんまでリーナの問に答える。
「うにゃ~~。怪我はソラのお陰でないけど大丈夫じゃなぃ~。そういぅリーナはどぅなのよ~。」
リーナは翼で己の身体を包みつつ、
「怪我はなぃみたいだけど、かなり疲れちゃった~。もうヘロヘロぅ。ミラとアンヌとヒューイは~?」
と周囲に声を掛け見回すがあやつらなら先生方を呼びに行ったっきりで・・・お。
「ふぇぇぇぇん。ミィナァ、リィーナー。居たら返事してぇぇぇぇ」
と情けない声をしながらこれまたヨロヨロと別方向からアンヌがヒューイを引き連れこちらに歩いて来た。
肝心のミラはというと何故か帽子よろしくアンヌの頭の上にちょこんと乗っかってる。
はて。なんかアンヌも妙に疲れておる様じゃの。現場で対処してた私らよりかは楽だった筈じゃが?
「あー、アンヌぅ。こっちこっち~。」とへたったままミィナが手を上げ手招きする。
ふにゃ。とミィナの傍にへたり込むアンヌ。
「おつかれー。あれ?アンヌは何処行ってたのぅ?」とリーナが気だるげにアンヌに声を掛ける。
あぁそうか。リーナは『牛』相手に集中しててアンヌの行動は良く観ておらんかったのか。
「うぅぅ。先生呼びに行ってたはいいけどさっきまで『牛』さん抑えにされてた~。怖かったよぅ~」
とへたれたアンヌが呟く。ヒューイも疲れてるのかアンヌの傍に舞い降り翼を休める。
(先生方も無茶ぶりさせるのぅ。ミラを連れたアンヌを『牛』抑えに回してたのかの?)
というかミラがアンヌのど頭をガジガジと甘噛みしてるのってそのせいだったりするのかの・・・?
怒ってはおらん様じゃが遣われかたに抗議してる心算なのかもしれんな。
あ。リーナ観とめたらガジガジ止めてすかさずリーナの元にひょいひょいと戻って行ったわ。
「ごめん。ワタシちょっと 寝る。」
白い毛玉を乗せてリーナも毛玉の様に丸まってしまったその姿は
どこか鏡餅みたいで何かほっこりする。
しかし『変化』だか解かずに寝るって事は相当無理してたって事じゃよなぁ・・・?
私も頭突きのし過ぎでどこか歪みでも生じてるかも知れんが『自己回復』あるし大丈夫じゃろ。
完全回復への道はまた遅くなってしまうかも知れんがこればっかりは致し方あるまい。
今日の所はミィナ達と一緒に男子達にでも回収して貰うとするかの・・・。
何やら裏ではきな臭い陰謀があった様ですがクエイベは一旦ここまで。




