竜人は本の虫
その台詞の出処は
その狐耳の少年はミィナの文句をさらっと聞き流した風体をしていたが
「はは。『ソラ』か。いいねぇ。なんか『宇宙』みたいだね。」
とさらっと思いがけない言葉を紡ぎ出した。
何の事か分からなかったらしいミィナが口を尖らしつつ答える。
「何よそれ?あたしはただこの子の目が蒼かったから『ソラ』って・・・
あ、安直だとか言わないでよね? というか、『うちゅう』て、なあにそれ?」
と逆に聞いてる様子じゃが、クィナよどこでそんな『知識』を・・・
リーナが妙な事口走ってたのかの?
「あーいや、とある『がり勉』君に聞いて、ね?『宇宙』って書いて『ソラ』って読むんだとか。」
と慌てて目を逸らす。む?『がり勉』君とな?リーナが言ってた訳ではないのか?
「???」と良く訳が分からず目が点なミィナ。
にしても『宇宙』か。さしずめ『天』とでも言い直せばミィナにはまあ分かったかも知れんがの。
「えーとちょっとまって・・・『がり勉』君て・・・?あぁあの留学生の『キィーロ』君の事ね?」
とミィナは『がり勉』君の事が誰か分かった様子。
にしても留学生か。クィナと同じクラスで辞書だか抱えてバリバリやってた奴の事かの?
確かあ奴は竜人というか竜の『けも耳』だった筈。
「あ、あぁそうだよ。てかアイツの事知ってたんか・・・」
と目を見張るクィナ。ふっふっふ。ミィナの顔の広さは伊達ではないぞ?と代わりに胸を張ってみる。
「ん。まぁね。一応あたしの両親も教師だし留学生は村にも来たりするから。」
と横の繋がりの一端を惜しげもなくミィナが明かす。
「そもそも『キィーロ』君に辞書あげたのあたしの両親だし。」
おぃ。クィナの口の一端が今ストンと地に落ちたぞ?そんなに驚く事かの?
「・・・あいつが本の虫なのは知ってたけど原因はおまえの両親かよ。」
とあきれ顔しとる。
「えー?違うよー。何て言うかな。最初村に来た時はやさぐれてたんだけど
気晴らしに本を勧めたら何か嵌っちゃったらしくて辞書はそん時の餞別に両親があげた物なの。」
とかさらっと言うけど、それって凄い事なんでわ・・・・
「おま・・・。竜人が本に嵌るってどんだけ・・・」とクィナが絶句しとるが・・・そんなに変かの?
というか『けも耳』でも竜人は竜人なんじゃな。覚えておこう。
「そっかー。『宇宙』って書いて『ソラ』って読むんだね。あたしも覚えとこ。」
にしても辞書か・・・。『異界』から流れて来たであろう『知識』も載っておるとはな。
もう少ししたらヒト前で喋ろうかとも思っておったが他の『召喚獣』も喋らん様だし
迂闊に喋らん方が良いかもしれんのぅ・・・。
竜人だって脳筋ばっかじゃないんです?という事で攻略?対象その②情報でした。宇宙=天なのは『天狐』にも引っ掛けてるんですが特に物語には絡まないので作中では言及はしません。 6/2誤字脱字があったので編集しました。




