神の使いは言いました
死んだ状況に無理がある気もしないでもないけど
薄暗い空間で『俺』は愕然としていた。確か俺はあの朝普通に学校へ登校しようとしていた筈だ。
『先程も言ったが御主は死んだのじゃ。あの赤い四角い鉄の塊・・・“とらっく”とやらによっての。』
と青く燃え上がってる人魂が『俺』の死因について告げる。
そうだ。『俺は』歩行者信号の青信号に従って歩道を歩いていて・・・
恐らくは寝不足か余所見をしていたか何かで暴走して来たトラックに跳ね飛ばされたんだった。
一緒に巻きこまれそうになった同じ学校の顔も知らない女生徒の一人を突き飛ばして。
『そうそう。御主が突き飛ばした“じょせいと”は無事じゃぞ?かすり傷もおっとらんかったわ。』
とここで少し愉快そうに『声』が告げる。
『よもや己の荷物の重さをも利用して勢いを付けて突き飛ばすとはのぅ。無茶しおってからに。』
あぁそうか。跳ね飛ばされそうになった時に背負ってたリュックサックな鞄を
重し代わりにしてあの娘を思いっきり突き飛ばしたから、背負ってなくて当然なんだっけ。
そういえばあのトラックの運ちゃんはどうしたろう。ただじゃ済まないんだろうな。会社も。
『死してなお他人の事を心配するか。まぁ御主を殺したそやつは当然罰を受ける事にはなるがの。』
・・・。さっきから思うんだが『俺』の思考駄々漏れじゃね?確か『魂』とか言ってたけど、まさか。
『うん?御主、今頃気が付いたのかぇ?御主の今の姿はその“ひとだまみたいの”と同じなんじゃよ。』
あ、やっぱし。『俺』の“今”の姿はこの人魂みたいのと一緒で、俺の姿は既に『人型』じゃないんだな。
となると、ペタリと座り直したってのも幻みたいなモンなのか?
『いや、それは“感覚”としては正しいぞ?実際御主の魂は最初横倒しになっておったしな。』
とクックックと面白げな『声』が笑い声を上げる。
『まぁそこら辺は置いておいてじゃ。・・・御主、“いせかい”で生きてみる気は無いか?』
来たよ。トラックで跳ね飛ばされた事とこの状況で来るだろうお約束が。
いよっ。まってました。大統領っ!!
『わらわはその“だいとうりょう”とやらになった事はまだないのぅ。国主とやらとは遊んでやったが。』
え。なにそれなんかこわひんですが。
『まぁそれも過去の事じゃ。まったく。いい気になって遊びまくるからあんな事になるのにのぅ・・・』
えーと。加護か何かを付けすぎて駄目になったパターンなのかな?どっかの国主さんご愁傷様です。
『声』の主はこの時点でもぅバレバレですね。主人公は気が付いてませんが