令嬢はどうしてもお近づきになりたい
目的は龍の雛?それとも・・・
何を言いだすのかと内心構えていたら「ふん。」という息を付くと私の事は興味なさそうにして
ミィナの方を振り返りさっきの返事を待つ『ミレーヌ』の姿があった。
・・・脅かすではないわ。ビビるわ。
ミィナ達も困惑しとる様じゃのう。貴族な娘が一般庶民と「友達」になりたいとわ・・・
「あ。あたくしアンヌと申します。そ、そこのミィナの友達ですけど、貴方程の方が何故ですか?」
と空気を読みつつアンヌが代わりに質問をする。勇気あるのー。
パチン。広げかけた扇を閉じてワザと音を立ててそやつはめんどくさそうに答えた。
「あら?友達になりたいのに理由がございまして???それにアナタには聞いてないのですが。」
とピシャリと答える。
ん?こやつアンヌに答えおったぞ?目的がミィナだけなら無視してもいい筈なのに。
「・・・まぁ、そうですね。アナタの言う様にワタクシ程の者が
急に庶民の貴方達と友達になれるのかといえば無理があるのは事実。」
と扇を口の前に広げて何か思考中の彼女。
「はぁ(ため息。・・・まぁいいでしょう。実は龍の雛を『召喚』した者と仲良くなりたいのです。」
と本来の目的を曝け出す『ミレーヌ』。ホントにそれだけか?
「ですが、あの者の周りには既に龍の雛目的の男達が集り出しています。
ワタクシ程の立場の者となると些細な事で殿方との逢瀬と勘違いされてしまい兼ねません。」
と心底悔しそうな顔をして扇をパチンと閉じる。なる程。お主も龍の雛目的なのかな?
しかし立場もあるから迂闊には近付けないと。貴族も結構大変なんじゃなー。
というかリーナがぐったりした顔してた理由は主にそれか・・・
「ですが元々あの者の友達である貴方方と友達になっておけば、その障害も減るという物。」
と畳んだ扇をミィナ達にそれぞれ突き付けて言う。
さり気なくアンヌも頭数に入れておる様じゃがそんなに困ってるのかの?
「ワタクシ、家名に掛けて誓いますわ。貴方方に何かをしろとまでは強要はしません。」
と譲歩条件らしき事を言う。
「ですから。貴方方はワタクシの友達になってくれれば良いのです。
出来ればあの娘に直接ワタクシが言えれば良いのですが状況がそれを許しませんし・・・。」
ぶっちゃけた話、外堀から埋める作戦に出た訳じゃの?まぁ陰でこそこそやるよかマシか。
「はぁ・・・。分かりました。友達で良ければ・・・。」とミィナが理解しきれてない顔で言う。
まぁ向こうは貴族だし一般庶民なミィナとしても下手に断れない事見越しての台詞だとは思うんじゃが。
するとあからさまにパァっと明るい顔になった『ミレーヌ』がルンルンな顔をミィナに突き付け
「ホントっ!?良かった。これで今日からワタクシ達友達なのですねっ!?」
と次の瞬間にはギュウギュウと両腕で嬉し気にミィナを締め付け盛大に揺らしておった。
いや、だから。病人にベアーハッグかましてどーするのよ。ミィナがまた白目剥いてるぞ?
地味に召喚魔法陣の暴走の嫌味でもぶつけとるのかー!?
この辺もテンプレ展開かも知れませんね。さて、味方?増やして令嬢は何する心算なんでしょう(棒
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