だって私(乙女ゲームの)ヒロインだし
乙女ゲーのヒロイン視点です
目の前で『ネコ耳』の友人が召喚魔法陣を使用するのをワタシは黙って観ていた。
だってその娘、召喚魔法陣で何を召喚出来るのか、ワタシは既に『知っている』から。
暴走しかけていた召喚魔法陣の所謂ガス抜きをしてくれたお陰で召喚魔法陣が吹っ飛ぶ事無く安定し
ワタシが召喚出来る『魔物』の格が本来設定されている枠外の存在を呼ぶ事に繋がる事も。
そのミィナって娘はワタシの知っている『聖・龍凰学園物語 ~君と共に歩みたい~』では
主人公の友達ポジ。恋愛要素には直接関わらないけど友人関係は幅広いから仲良くしておいて損はない。
一応召喚魔法陣が不穏な動き方をしている事は彼女や周りにも言っておいたけどね。
先生方がOKを出したのならば一介の生徒であるワタシにはもうそれを止める術はないんだよね。
だってまだ導入部にすらたどり着けてないのよ?ワタシが本格的にその物語の主人公になるのは。
ワタシがミィナの後で『あの子』を召喚してからだし。
ワタシが所謂『転生』者だって気が付いたのはこの学園に通い始めてミィナに出会った後だった。
ホントはもっと幼い頃に『転生』してたみたいだけどそれまで忘れていたというか
膨大な過去の記憶に耐え切れなくて心の隅に封印してたのを一気に思い出しちゃったて所かな。
ワタシの前世の名前は良く思い出せない。良く鳥みたいにホワホワした癒し系で通ってた気がする。
ただ内面はごく普通の女の子。少ない友人に誘われてつい嵌っちゃったのがあの『ゲーム』てだっただけ。
因みに前世の死因は・・・よくあるトラック転生とか病死じゃなくて同級生からの虐め。
幾らホワホワした癒し系だからといって虐めがない訳じゃないのよ?
もしかしたらその子は唯単にワタシの気を引きたかっただけかも知れないけど。
でもそれが原因で、海で溺死しちゃったんだ。遠足で海に行った時に崖から突き落とされて。
最後に覚えてるのは大事になっちゃって真っ青になったその子の顔が小さくなっていく場面だった。
記憶が戻った時に思わず「ワタシ、転生しちゃったの!?」とか
「え。これって乙女ゲーの世界なの?逆ハー?無理無理。」とかいろいろ呟いちゃった上に
過呼吸起こして廊下の隅っこの方でorz体勢になってたのも苦い思い出。
誰かに観られてた気もしない訳でも無かったけど多分誰にも見られてないからいいよね?
順当に行けばヒーローポジの男の子とか攻略対象に出会えてルンルン気分に浸れるんだろうけどさ・・・
正直攻略するのメンドイです。不快です。よりにもよって俺様系王子とか付き合いきれませんよ?
しかもそのソフト教えてくれた友人のお陰で続編まである事を知ってるんだよね。
主役のヒロインつまりワタシよりも悪役ポジの子が人気出ちゃった結果アレヤコレヤ活躍するのがさ。
王妃とかなれるのは正直憧れるんだけどね。あのポジ結構大変なのは知ってるんだ。ワタシは。
一般庶民でしかないワタシは喜んで悪役ポジもといヒーローの正式な婚約者に喜んで差し上げます。
あ、勿論ゲームの流れとしてそういう選択肢やその先がある事も無駄に知ってたりするんだよ?
だ・か・ら。とっとと選択肢を間違えなく選んでメインストーリーから逸脱する心算。
ちなみに続編は前作のファン用に前作のセーブデータを適応する事で立ち位置まで変更可能という
徹底した配慮によって製作陣すら予想しなかったヒットを生み出したという・・・
最も3作目は監督役がポカやらかして大赤字&黒歴史扱いされる酷い出来だったらしいけどねー(棒。
にしてもまさかゲームと良く似た世界に『転生』した挙句に『けも耳』な鳥族で
おまけにヒロイン役やる羽目になるとは思わなかったわ。
あ。そろそろミィナの召喚の準備が結実する。・・・ワタシ、事前にちゃんと警告したからね?
うっかり爆発させちゃって全滅なんて嫌なんだからっ!!
狐の『玩具』が知らない所で一応警告とか発してたヒロインさんでした。意味あんまし無かった様ですが。ここまでくればもうバレてますが次でようやくこの話の主人公の出番です!「やれやれ。忘れ去られたかと思ったのじゃ・・・」




