異世界で『玩具』が鳴いた。
『転生』した先は・・・?
あーあー。本日は晴天ナリ。ホンジツハセイテンナリ。
『俺』・・・いや『私』の頭の上を鷹だかが弧を描きながら空を舞っている。
現実逃避はそろそろこれ位にして自分の『ステータス』を観るとするか。
「ステータス、オープン。」と諦めきった『女性』の声に応じて
『ステータス』画面が目の前の空間に展開される。
名前:未設定
性別:♀
種族:異界の『玩具』。タイプ:ケモノ/キツネ
年齢:1歳
レベル:01
経験値:01/10
HP:10/10
MP:08/08
INT:02
DEX:03
VIT:02
AGE:02
スキル:共通語Lv.0 自己再生Lv.0 自己進化Lv.0 鑑定Lv.0
スキル控え:ナシ
あえて言おう。『玩具』ってなんだよ。しかも『♀』って何故?精神的に『♀』だからか!?
『俺』は内面は兎も角外見はれっきとした『雄』だった筈なんだがーー!?
『俺』だった『私』のどうしようもない憤懣は「声」となって辺りに響き渡るのだった。
「コニャーーーーーーーーン!!!!(怒」
小さなケモノの『玩具』の鳴き声は誰に聞かれる事無く深く茂る森の奥から響いて来た。
「せめて店頭か工房とかに“転送”しろーーっ。これからどうすれば良い“のじゃ”ーーー!?」
こうなれば元『彼』ももはやヤケクソである。
「ったく、あの『神の使い』とやらめ。異世界に生まれ変わらせてやるからというから期待すれば・・・」
とキツネの『玩具』がグリンと首を巡らせその『身体』を観やる。
「よりによって木のキツネの『玩具』じゃと?しかもコレ、私が拾った奴ではないかっ」
そうそれは『彼』がごみ箱から回収した木で出来たキツネの『玩具』だった。
「簡易とは云え可動置物系だったのが幸いしたわい。固定フィギュアだったら詰んでたの。」
と己の可動箇所を確認する。
女の子向けと思われるちょっとすっ呆けた顔の小さい木のキツネの可動フィギュア。
それが森の中でぎこちなく動き回っているのはある意味異様な光景だった。
「オマケに加護の類いも付いておらん。チートスペックではなさそうなのは気にならんが。」
と『転生』する前に『神の使い』の言っていた事を思い出す。
可動置物系といってもぬいぐるみより小さい多分魔法少女アニメか何かのマスコットみたいなモノという事で。 4/15:Lvを書き忘れてたので書き加えました。4/16:肝心な経験値の欄を書き入れるの忘れてました。すいません。