弱きを助ける者
アンヌ視点です。
鉱物型魔物。別名『ストーンフレッシュゴーレム』。
ゴーレムという名前が付いてはいるものの、それはヒトの手によって
作られた仮初の動く物体とは違い、『生きている』様に見える
自然災害現象とも言える動く『事象』である。
何故ならば、彼らには魔物ならある筈の『魔石』が無い。
心臓というか『コア』の部分に鉱石やら宝石が鎮座しているのみである。
臓器も無いのにも関わらず動き回る彼らは大きな括りで見れば『精霊種』になるの
だろうが『精霊種』から見てもかなり中途半端な存在らしい。コア以外は
単なる粘度の高い土みたいな構成らしいし。
「モップ持って来たまんまで良かったわねぇ。強く突くだけでいいんだし。」
とリーナが言ってたけど、動く相手の『コア』をピンポイントで打ち飛ばせるだけの
敏捷性と正確さが必要なので私は無理。『コア』が何処にあるか位は
分かるけどね。こいつら姿は一緒だったりするのに毎回『コア』の位置が違うのよ。
鉱石だか宝石も個々に違うし。そこがこいつらが『生命体』でないという
理屈の一つにもなってるらしいけどぶっちゃけそんなん現場では関係ないし。
「キィン!」ミィナが進む内に暗がりから出て来たそいつに先制攻撃で
解剖用メスを括り付けたモップで突っつこうとして弾かれてしまった。
「下がって、ミィナ!そいつは『ストーンゴーレム』よ!!」
メスが折れなかったのは幸いだったけどやっかいな奴が現れたわね。
構造的には同じな癖に下手すると岩並みの強度を持つそいつらは強烈な打撃でも
与えないと砕けそうにもない。『コア』さえ抽出出来れば楽なんだけどっ!!
後方からも何か強歩な感じで歩いてくる足音が聞こえるし、
挟み撃ちにあっちゃったかな?と思ってるとヒューイが足音が味方だと教えてくれた。
「邪魔をするぞ。ソイツを倒せばいいんだな?」と後方の暗がりから現れたのは
顔見せに同行していた筈のルゥス君だった。行ってた人達、帰って来たんだ!!
(えっと、あれ?素手っぽいけど大丈夫なのかな?一応彼の得意とするセイバーは
腰の鞘に仕舞ってあるみたいだけど!?)一瞬どうやって倒すのか疑問に思ったけど、
「そいつの胸を狙って!『コア』はそこよっ!!」と助言すると彼はスピードを
落とさず前進すると右手を抜き手にして一気にその『ストーンゴーレム』の胸を
「ボゴッ。」と貫通させてしまう。成る程。自分その物を加速させる事で貫通力を高めてたのね。
ボロボロと崩れていくそいつの身体と一緒に周りの『ストーンフレッシュゴーレム』も
倒れていく所を見ると、どうやらコイツがこいつらのコピー元だったみたい。
「お陰で助かったわ!他のヒト達はどうしたの!?」と聞いたら、どうも彼は先行として
先駆けを許されただけみたいね。救出は別なヒトがやってるとか言ってたから
ケイン君辺りが多分そっちを担当してるんだろうけど。
ソラが居ない事は直ぐに気付かれたけどあえて突っ込みもされず先を急ぐ事にする。
途中何度か倒した『ストーンゴーレム』の『コア』たる鉱石のどれかを助けた報酬代わりに
何個か欲しがってたのでリーナが献上してたみたいだけど金銭毟られるよかマシなのかな?
ルゥス君がミィナ達に合流(追い付き)しました。リーナが献上してた鉱石はフラグ要員ですのでボカしましたがヒントは今までの回に既に出てますで直ぐにバレる事でしょう。




