街へ
村から出発する様です。
思わず窓枠の隅に張り付いて気が付いたけどこっちは『偽装』中なんじゃよなぁ。
向こうが格上でない限りは大丈夫だとは思うけど・・・なんかこっち歩いて来たのじゃ~!?
「ギキィ。」観音開きにでも窓が開くのかと思いきや、
空気循環が目的なのか下半分が外側へと開くタイプじゃったので
『浮遊』も使って部屋の中へと入り込み窓枠をちょん。と蹴って素早く
少女の背後の床ぎりぎりまで下降し足先使ってチョコマカ走ってベッドの下へと逃げ込む。
「犬の鳴き声聞こえてたみたいだったけど、もう行っちゃったかな?」
と窓の隙間から外を窺っていたみたいじゃが。なんじゃ、こっちに気が付いた訳じゃ無かったのか。
それにしても何故旅衣装姿なんじゃ?さっき窓の外で覗き観た限りではまだ身綺麗だったし
旅して来た訳ではなさそうじゃが、『浄化』でも使って綺麗にしたばっかだったかのぅ?
女の子「どんな子か観たかったなー。やっぱ召喚魔法習ったら可愛い子を召喚してみたいし。」
む?召喚魔法じゃと?こやつ召喚師の卵か。
魔法があるんじゃ。召喚魔法があったとしても別段おかしくはないが、
習うという事は学校みたいのがあると言う事じゃな。
「ギキィ」窓を閉めるとこちらへと歩いて来てベッドの脇の椅子へと腰掛ける。
「出掛ける準備も出来たし、後は街への馬車が来れば出発かー。ワクワクするね。」
と感慨深げに片付いているらしい部屋の中を見回している様だ。
ふむ。この娘の部屋じゃったか。宿屋の部屋にしては生活感のある部屋だとは思ったが。
「ミィナ、馬車が来たわよー?準備出来たのー?」と親らしきヒトの声が
開きかけの扉の外から漏れ聞こえて来た。どうやら階下から声掛けしとる様でちょい遠いな。
「はーーい。もぅ出来てるよー。今行くー。」とミィナとやらが元気良く返事する。
ミィナか。悪くない名じゃの。猫な尻尾が生えてる様じゃが柄的にはアメショか何かかの?
それにしても召喚魔法か・・・。街に行くと言う事だし付いて行ってみるとするか。
何も一緒に学校か何かに行く訳では無い。精々街の入り口付近までじゃよ?
ミィナの足の運びに合わせる様に室内を抜けると階下に気付かれにくい様に駆け下り
村の広場らしき処に待機してる馬車の荷積みに紛れ込んで荷台の隅の荷物の隙間に陣取った。
「気を付けて行ってらっしゃいね。変な物食べちゃダメだよ?」と母親らしきヒトが言っている。
「大丈夫よ。心配性なんだから母さんは。」とミィナが答えてる様だ。
ギシギシと馬車に乗り込む音が複数したと思ったら、御者らしき男の声が出発を告げる。
この村ともお別れかの。いつかはまた訪れる事があるかもしれんが。
召喚師な卵な子が出てきましたがどう絡めるか悩み中。召喚獣生活も悪くなさそうですけどねー。




