長居は無用
罠は無視するみたいです。
学園中の鏡がカタカタと小さく震えている。注視すれば鏡の中で
狐の玩具に追い掛け回されてる影っぽい魔物の姿が見られたかも知れないが、
誰もその現象には気付いた者は居なかったという。
程なくしてとある階のトイレの手洗い場の鏡が「ドタンバタン!!」と
派手に振動したと思うとその中から「ペッ。」っという感じで
狐の玩具が飛び出して来て床にスタっ。と着地した。
キョロキョロと周囲を確認して周りに人影が無い事を確認した
私は「はぁ。」と声を出してため息を付いてみる。
「やれやれ。まさか鏡の中で追いかけっこする羽目になるとは
思わなかったのじゃ。まぁ、中に居た魔物は倒せたからいいがの。」
と鏡の方を見やる。倒してもどうせ暫くすれば補充されるのじゃろうが
ミィナ達の攻略の邪魔は出来なくなったみたいので良しとするかの?
「んー。この後どうしようかの。簡易召還魔法陣で召還してくれれば
即帰れるとは思うんじゃが多分阻害されてるとは思うし。」
敵だって馬鹿じゃないじゃろ。引き込んだのが召還獣だと言う事位は
さっき倒した奴が念話でボスに連絡はしてる筈。
「では『MAP』で現状確認っと!?」「「「ドッゴーーーーン!!!!」」」」
校舎の外から連続した破壊音がして来た様じゃな?教室か階段室の明り取りから
外が見れるかも知れんが釣られんぞ?(どうやら中に入るのに苦戦しとる様じゃな。)
と推測するだけに留めて置く。下手に教室に入って行って中に閉じ込められたり、
窓から校舎外に放りだされるのもしゃくだし無視するに限るのじゃ。
「大方薪を背負った狸耳の彫像だかに逃げられまくってるんじゃろ。」と
戦いの様相を想像しつつ先を急ぐ事にする。
「コンコン。」念の為に閉まっているトイレのドアに尻尾で入ってるか確認をば。
シーーーン。(ふむ。不浄の女神は不在。か。『MAP』でも黄色い点すら見えんしの。)
「さてと。召還獣姿でうろつき回るのも何じゃし用心の為に『変化』していくかの?」
と開いてる個室に入るとドアを閉めて何時もの狐ヒトな姿へと『変化』をする。
「武器は手持ちの剣じゃ駄目じゃな。ナイフも持ってないし。」
と個室から出たら掃除用具入れからモップを選択する事も忘れない。
祝福もされてない剣では徘徊してる魔物相手にダメージ与えられるか分からんし、
それならモップの方がまだリーチも長いし、なによりも外から帰って来た連中にも
誤魔化し易いという利点もあるからの。
(それに召還獣姿で連中に合流したせいでミィナ達の足を後で引っ張る訳にも行かんしな。)
理想としてはミィナ達に追い付く直前辺りで『変化』を解ける状況に
持っていけるのが好ましいが、こればっかりは出たトコ勝負と言った所か。
(どうせルゥスかケイン辺りが先に突入してくる筈じゃ。余りゆっくりもしてられんな。)
私がまず目指すのはリーナも言ってた部活動用倉庫じゃな。
(あれは確か校舎の隅っこの方にあった筈じゃっけな。使えそうな武器があれば良いが。)
さっきの上りエスカレーターな階段の所からは離れた場所みたいだし、
もしかしたらこっちの方がミィナ達よか早く着けるかも知れん。
「スタスタスタ。」トイレを出ると軽快な足音だけを響かせつつ、モップを小脇に抱えて
わき目も振らず廊下を小走りに走る。今は注意するヒトも居ないしスケルトンな鼠なんぞは
突進してくる狐ヒトなソラに恐れをなしたのか近寄ってもこない。
自分自身という存在が学園7不思議の一つを体現している事も忘れたまま
私は倉庫へと向けて先を急ぐ事にする。
『音楽室』はすっ飛ばしましたが『理科室』『階段』『合わせ鏡』『動く石像』『トイレの花子さん』と『ソラ』で学園7不思議一応全部登場出来たかな?ソラが欠けてても7不思議は成立する様に『窓の外へ誘うモノ』要素も入れておきましたけど『美術室』入れても良かったかな?と思ったり。 3/11:後書き修正




