喧騒からの離脱
一難去ってという訳には行かない様なんです!?
俺様王子とミレーヌ様ご一行の乱入により、リーナへの『断罪シーン』が
中断されたのまでは良いんじゃけれども、私ってばひょっとして
早まってしまったのかしらん?と思ったり。
学園の警備システム利用して先生呼びしたのは『ランダム要素』を
期待しての事じゃったんじゃが、複数の先生呼ぶ事になるとまでは
思わんかったのじゃ。
「「「何だ、どうしたんだ?この騒ぎはっ???」」」」」
中庭への入り口で折り重なって倒れこんでる先生達の姿は
ちと珍妙な姿ではあったが船頭多すぎじゃろコレ。
(ま、まぁ暇そうな教職員も釣れたと云う事でいい事なんじゃないかの?)
と自分のやった事を棚に上げて様子を見る事に。
一部の生徒はめげずに先生にあーだこーだ言い寄ってる様じゃが
俺様王子やミレーヌ様は我関せずな涼しい顔で取り巻き連中と一緒に
推移を見守ってると見せかけてちゃっかりとリーナ達を守備範囲内に御誘導。
どうやら率先して事態解決に努めてる姿を見せたいらしいな。
「大体何よ!鷺系だか何だか知らないけどミレーヌ様に取り入っちゃってさ!」
と文句を言ってる女生徒の一人にミレーヌ様がツカツカと歩み寄ると畳んだ扇で
「ぺチン。」と軽く頭を叩いて黙らせる。
「貴方は何を言っているんです。リーナはワタクシに取り入ってなどいませんよ?」
と胸を張って言うとさらに続けて言い放つ。
「そもそも私から彼女に友達になって欲しいと頼んでいるのでその言い様は筋違いですわ。
まぁ確かにリーナの鳥種は鷺系と言うか朱鷺だと私は思ってますけどね?」
とリーナの方を確認を兼ねて振り返って小首を傾げてる。
(絶滅危惧種だかにされてしまってますが、それってフォローのお心算なんですかー!?)
朱鷺も『幻獣』種に片足突っ込んでるとは思うがまだ現存しとると思うんじゃがの。
正直な話、リーナはどの鳥種にもあたらないと思うんじゃよな。
鷺系に似とるってのはリーナのその側頭部の2対の羽毛から発想したからかも知れんがの。
日本神話じゃと確か白鷺は鳳凰なんかと肩を並べる程の吉兆を現す鳥じゃから
鷺系でも悪い例えとまでは言えんが、リーナは多分ミィナや私同様にクラスチェンジで
自分の格を自在に上げる事が出来る希有な存在の筈じゃて。
『幻獣』種なんじゃから『乙女ゲーム』とか関係無く、本人?にやる気がありさえすれば、
多分『ロック鳥』や『ルフ鳥』とか言われる鳥種な鳥ヒトにもなれるんじゃろうけど。
瑞鳥院に行かされたのだって彼女に発破を掛けたい両親からの心遣いからなんじゃろうが
単なる一般鳥ヒトで居たいっぽい彼女にしてみれば朱鷺扱いも悪くは無い事かも知れんな。
私だっていつかは『狐巫女』としてミィナ達の前に姿を現さなきゃいけんのじゃろうが
リーナよろしく今は唯の異界の狐の『玩具』の召還獣で十分よ。
先生の聞き取りにも答えたし、とりあえずこの場にはもう私の出番は無いじゃろうと
私はこっそりとこの場から抜け出す事にした。
(ミィナが部屋に帰ってくる前に戻らねば。)そう思って抜け出した先の廊下で、
私はどっかで観た覚えのある生徒と対峙する事となる。
リーナが朱鷺扱いされてる理由は『乙女ゲームの主人公のイメージカラー』がピンク色だったりする事からのオマージュです。本小説ではリーナの色設定とかしてないので当て嵌まらないかも知れませんがね。




