龍の寺へ
少々かっ飛ばすみたいです。
命を頂くということに関してこういう形で接する事にはなるとはのぅ。
転生する前は現代もやしっ子系であった私は所謂『お頭付き』が大の苦手であった。
鯛焼き?あれはまだいいんじゃよ。私みたいな一種の『拠り代』の類いなんじゃし、
モノホンでは無いからの。魔物や動物や蟲やらぶっ倒し捲くる事だって
残酷なんじゃないの?と言われてしまえばそれまでなんじゃがな。
(ヒューイやリーナだって同属喰いしてたりするんじゃ。『玩具』とは言え
狐な私が作物を喰らう小鳥な姿焼きを喰えないでどうするんじゃよ。)って事で
貰ったそれを有難くかっ喰らった後は、お口直しにミィナがデザートとして頼んでた
フルーツ山盛りなパフェをちょびちょびっと貰って気分を立て直す事に。
「へぇ。この近くに『矢通堂』って言うのがあるんですって。」
とガイド用紙を見ていたアンヌが言う。
(む。『三十三軒堂』の異界バージョンか。三十三体の神像が安置されとるのかの?)
「うーん。そこも見てみたいんだけど、『瑞鳥院』て言うトコ行って貰えないかな?」
とそこでリーナが珍しく行き先指定をして来た。どうやら両親から「行ってこい。」と
厳命されたらしい。ま、理由は分からんでは無いがの。
という訳で伏見さんな豊穣神様の神殿を後にしたら、リーナの希望により
『平等院』ならぬ『瑞鳥院』という寺院に寄り込み、リーナのご両親ご所望だと言う
御朱印貰って展示館の鳳凰像とご対面してミレーヌ様とその取り巻き達と
かち合わない内に退散する事に。天上の音楽を楽器で奏でる飛天の像な展示とかあったし
鳥属な拝観者が多かったんじゃよ。
あそこは左右対称な建物が建っていただけに、天秤持った目隠しした女神像とかも
境内に飾ってあったりしたみたいだけどそういうのはスルーして来た。
結構な強行軍じゃったがニアミスもしてなかったみたいじゃしギリギリセーフ?
(ま、向こうはVIP待遇じゃろうから一般客な私らは一緒には見れないじゃろうしな。)
末法の世、恐らくは大破壊の惨状の状態からの復興を願って建てられたという
この世界の『瑞鳥院』を後にして巡回荷車で次の目的地を目指す。
「後はキィーロ君が行きたがってた寺院と後はお団子屋さんのトコだっけ?」
とアンヌが巡回荷車の座席でガイド用紙を確認しつつ行き先の確認をしとる。
御所に当たる旧都の巨大邸宅よか西側にある川を南側から越えた所にある寺院じゃな。
この世界に機関車の車庫に当たる物は無い筈なので南西側はスルーしてしまったが
もしかしたら荷車の修繕用の工場とかあったかも知れんな。
(順当に行けば『天龍寺』なトコか。そりゃキィーロも行ってみたいじゃろうなぁ。)
と彼の方を見る。天井にうねる『雲龍』の絵と庭園が有名・・・って、あれ?
(雲龍じゃと!?て事はあそこってどっちかーてーとミラ向きな寺院なんじゃないのかぇ!?)
とリーナが抱える毛玉なミラの方を見る。
ミラは言うまでも無いが貴重種の龍の雛である。しかもその体毛は言うまで無く『白』。
『瑞鳥院』では私達の中ではヒューイやリーナに注目が集まってたみたいじゃが
今度はミラに注目が集まりそうな雰囲気である。下手すりゃ祭壇の最上段で拝まれる事に
なってしまいそうじゃな。残り時間的に余り長居はしたくないし・・・。
この際ミラにはアクセサリ的な物に擬態しておいて貰った方がいいかも知れん。
幸いリーナの治りかけの腕の中で船を漕いでるみたいじゃし、同属だらけに興奮して
電撃とか飛ばしまくらなければ良いのじゃが。
例え『拠り代』とは言え瑞鳥にお目通りしたいと思うのは鳥属達ならでは発想かも知れませんね。リーナの鳥種が幻獣種とは言ってもまだ巣立っていない扱いなので格的には一般人と同じです。リーナ「そう言えば私の鳥種は一体何なの?鷺系?」うーん。ないしょ。




