日溜りにて
焼きソバパンを食べ損なうみたいです。
定規、羽根ペンから消しゴムみたいな物から綺麗なインク壷まで。
色んな道具が自分を買って!とアピールしている店頭という物は何時見ても飽きないわ。
学園に戻って来てから何時もの狐ヒト姿で休み時間のお使いクエを再開し
手持ち資金を補充しつつ昼休みに購買の中を伺うのが半ば趣味と化してしまってるのじゃが、
(ふむ。ここは何時もの様にオヤツ代わりのパンでも買って帰るかの?)
と久しぶりに購買に近寄ると売ってるパンの棚を見る。
揚げパンからフランスパンのハーフの奴とか『焼きソバパン』とか・・・ん?
あれ?と思わずラインナップを見直した。あ。やっぱりあるよね。『焼きソバパン』。
(へー。ほー。そういうのもあるんじゃ。って焼きソバパンじゃと!?)
学校の購買と言えばお約束と言われる焼きソバパンが
いつの間にか棚に複数追加されているのじゃ!?こ、これは買わねば!
(前世の学校じゃ弁当持参必須じゃったから購買でなんぞでは扱ってなかったし!)
と目をキラキラさせつつパンを棚のバスケットから取ろうとして・・・
「ドドドドド!」という背後から派手な走行音と共に押し寄せてきた
生徒達の群れによって購買から跳ね飛ばされてしまったのじゃった。
壁の下の方に張り付く私の後方でピーチクパーチクざわめく生徒達の群れが
過ぎ去った後で壁から剥がれ落ちる様に復帰し、購買にヘロヘロになりながら
辿り着いた私じゃったが既に焼きソバパンは売り切れ状態じゃったわ・・・。
「あれまぁ。最初に来た筈だったのに跳ね飛ばされちゃったてたのかぃ?
こないだ新商品としてあれ追加してからというもの毎回あんな感じでねぇ。」
と購買のおばちゃんに「まぁ売れるのは有り難いんだけどね。」と苦笑されながら
申し訳無さそうな顔で告げられたんじゃが、毎回あんな戦闘状態になるんかぃっ!!
と突っ込みたくなったのじゃ。(うぅ・・・焼きソバパンが、遠いのじゃ。)
スキル乱発すれば確保は可能じゃろうが先生がふっ飛んで来た挙句に
肝心のパンが販売禁止とかになったら買えなくなった連中に何されるか分からん。
残ってたアンパンと小さい瓶入り牛乳買ってすごすごと中庭に行く事に。
日の当たる隅っこのベンチでパクパクムシャムシャゴックン。と人心地に浸ってると
ミィナ達がキィーロを伴ってやって来た。
「あ。お久しぶりですっ!!お元気ですか?」とミィナに挨拶されたが
召喚獣としては毎日逢っててもそーいやこの姿でお主達に会うのは久しぶりじゃったな。
「久方ぶりじゃったな。ミィナ達こそ元気じゃったかの?」と言いつつ
中身の減った牛乳瓶を脇に置きつつさりげなく彼女達が寄って来るのを見守る。
「お久しぶりです。今日はいいお天気ですね。」とリーナもにこやかに挨拶し来たのじゃ。
「ふむ?リーナもまぁまぁ元気そうで何よりじゃがその翼な腕は大丈夫なのかの?」
と丸まった毛玉状のミラを抱える彼女の翼の様子を念の為に見てみる。
召喚獣な目線でだけでなく狐ヒトとしての目線でも確認したいんじゃが、
何かミィナもリーナも若干他人行儀な挨拶じゃった様な気が?
(あーそうじゃったわ。温泉地での邂逅の件の事を忘れておったわ。)
と改めて彼女達が話し掛けにくそうな理由に気が付いたのでこちらから聞いてみる事にした。
「あぁ、そうそぅ。温泉に入りに行った時の事なんじゃがミレーヌ様に出くわしてしまってな。
私の事何か言ってなかったかの?失礼が無かったか、ふと不安になってな。・・・って、あれ?」
話題振ったらやっぱりというかピキと全員固まってしまったのじゃが。
妙な誤解とかしてそうじゃし今の内に軌道修正しといた方が良さそうじゃな。
市販のより購買で売ってるやきソバパンの方が美味しそうに見える不思議。アンパンと牛乳のセットも定番だと思うのですが購買ではどうなのか実体験してないので間違ってたら御免なさい。




