眠りを妨げしモノ(VSグール)
牛耳なグールだった様です。
そいつは恐ろしげな形相をしつつ青白い肌の巨体を揺らしながら
私達の出方を窺っている。これで顔が豚顔だったりすれば
オークの変種か何かと勘違いしそうじゃが顔はヒト系なので
まずオークがベースなグールではない。
『ン″モ”ーっ!!!!!』
周りを飛ぶヒューイにイラついたらしいそいつが『牛』の鳴き声を上げて
元となった種族を私達に教えてくれた。
(『牛耳』がベースか。案外『鬼』もこやつ等が元ネタかも知れんな。)
と頭に生えてる角を確認する。何か生えてると思ったら牛の角じゃったか。
この世界の『牛』は豚だか猪だかと牛のホルスタインが混合した存在なんじゃが
『けも耳』な『牛耳』達はホルスタインタイプだったりするんじゃよな。
男子はごっつくなる傾向がある代わりに女子は豊満な胸を誇ってたりするので
飲み屋の看板娘とかは『牛耳』が成り易い職業なんだとか。
それは兎も角牛な尻尾で纏わり付いて来た小蟲を叩き落としつつも濁った目をギロリと
こちらを睨んだそいつは喰い足りないと言わんばかりに襲い掛かって来た。
ドガッ!!(うをっと!『玩具』である私を先に狙ってきたか!)
ひらりと繰り出され地面に叩き付けて来た握り拳から逃げつつも
ミィナ達の方へは行かない様に気を引きつつ戦闘態勢を整える。
死者であるが故に死者を慰める役目も持つ『玩具』を最初に狙うのは
ある意味当然の事なんじゃろうが余り良い気分では無いな。
私に攻撃を避けられたグールはそれに気を悪くする風でも無く手当たり次第に
周囲に攻撃を開始しだした。
グールが遺骸を食べるのは彼らが彼らなりに『生きる』為の方便ではあろう。
だが攻撃にかこつけて周囲の副葬品や何かを壊しまくるのまでは頂けないのじゃ。
木っ端微塵になった古びた木剣やらアクセサリ等の残骸が宙を舞ってたりするのは
目の前のグールが狙ってそれをやってたりするからでもある。
(こんのアホがーっ!!自分が眠れんからと言って八つ当たりするなーっ!!!!)
飛び交う残骸を避け踏みつつも『立体機動』で空中からグールに詰め寄り
「ドゲシ!!」と後ろ足で飛び蹴りを噛ましてやるついでに尻尾を『倍化』して
魔力を込めて頬の辺りを「べチンッ!!」と横からぶん殴ってやる。
「ン"モ"っ!?」とたたらを踏んで持ち堪えたグールがこちらを威嚇しようとして
顔を向き直した瞬間に「ギャルオゥ!!」「ジュドーーンっ!!」とミラの火炎弾ブレスが
直撃する。さらなる追撃としてヒューイが突貫しようとしたが
「ン”モモモモ!」とグールが頭突きに出て来て慌た為にアンヌと一緒になって回避している。
リーナが床を蹴って空中へと逃げる。狭い空間とは言え飛べる状態の彼女ならではの
回避法ではあろう。開いたスペースの分だけミィナ達が避け易くなるしの。
再び尻尾を当てに行った私だったがブスブスと焦げた顔を気にするでもないグールの
払いのけで簡易墳墓の一つに突っ込んでしまったのだった。
何気に『牛耳』が登場です。彼?は既に『グール』ですけどね。『牛鬼』とかもひょっとしたら彼らが正体だったりするのかも。次回も戦闘シーンです。




