地下砦の住人達
唯では通して貰えない様です。
所々明かりの灯る地下通路を先へと進んでいく。髑髏だらけな通路だったり
骨で組まれた霊廟風の立体レリーフ群があったりと
死者を弔うに当たっての創意工夫が見られるのは良いんじゃが
眠りに付けなかったスケルトンやらゾンビィ達がさ迷ってるのを見る限り
街という名付け方もあながち間違いでないのかも知れんな。
ガレオン船モドキのゾンビィ達同様に刺激さえしなければ
スケルトンやゾンビィ達はこっちを襲ってくる事は無いのは有り難いが
横通るたびにひんやりした冷気とか漂わせてこっちを伺ってたりと
死者なりに生者に対する想いはある様で、
分かれ道でどっちに行こうか迷ってた時にはいきなり後ろからスケルトンが
「ポン。」とミィナ達の肩に骨な手で叩いて「カタカタカタ。」と笑いながら
もう片方の手で正解の道を指して教えてくれたりと結構お茶目だったりする。
アンヌやリーナもやられてたりする所を見ると接触してくる相手はランダムっぽいが
種族特性か何かで絡み易いのかミィナが一番狙われてるっぽい気がする。
(次点で私、か。まぁ『玩具』だしなぁ。)と私の頭をナデナデして来た
子どもなスケルトンが道を教えてくれるのに対して尻尾を振りバイバイしつつ考える。
死者を弔うのに当たっては身の回りの物を一緒に置く事があるし『玩具』も
また例外ではないんじゃよな。と壁に収められし死者達の眠りを彩る物品類を見る。
副葬品は何も貴金属類ばかりとは限らない。『本物』は無理でも『玩具』であれば
予算が安く済むじゃろうし、場合によっては『拠り代』を捧げる場合もある。
あの鉱山に捧げられいたマトックもどきとは違い、死者に『拠り代』を持って貰う事で
『本物』を持つ側が先祖に守って貰えるという一種のお守り効果を期待しての事じゃろう。
(異世界とは言えやる事はどこも同じという事かの?まぁお陰でこっちもやりやすいが。)
と捧げられてる木剣を見る。いざとなれば『本物』同様には振れる筈だが
ミィナ達もなるべく使いたくは無いじゃろうな。
その時行き先の方から『キャーーーッ。』とかいう悲鳴が聞こえて来た。
ノソノソ行きかってた死者達もビクっとして振り返ったりしている。
(何じゃ!?『MAP』じゃと赤い点が赤い点を襲っとるぞ!?死者同士の争いかの?)
段々近づいて来たその気配から逃れる様に近場に居た使者達が去っていくんじゃが!?
「ちょ。グールだわ!しかもおっきい奴!!」とヒューイに『偵察』を命じて情報を
『念話』で受け取ったアンヌが慌てた様に言う。
グールか。『食屍鬼』とも言われるそれはアンデッド達に取っても異色の存在じゃ。
同じ不死属でありながらも油断してりゃ喰われてしまうんじゃがらな。
(さっきの子どもなスケルトンなんぞ簡単にバリボリ喰われてしまいそうじゃな。)
『偵察』から慌てて戻って来たヒューイを気にする事も無く犠牲になった遺骸を
頬張りながら現れたそやつは私達の行く手を塞ぐ様にその巨体を現した。
どうやらぶっ倒さないと先に進ませてくれんようじゃな。
グールもスライム同様に『お掃除屋さん』の一種と考えられなくもないのですが、襲われ食べられる死者にしてみたらたまったもんじゃないでしょうね。次回は戦闘シーンです。




