小さな掃除屋(VSスライム その2)
巨大化してしまうみたいです。
私が目の前のスライムに飛び掛ろうとした時、横で突然ミラが
「ギャルオゥ!」と火炎球ブレスを発射した。但しその当て先は
私が対峙しているスライムでは無くそれより先の横壁じゃたりする。
「ボフゥン!」小さな爆風と共に壁に同化して潜んでたスライムの破片が飛び散った。
スライムが見た目よか油断出来ないのは、こういう風に周りの地形や光景に
溶け込む『偽装』を行えるからじゃな。(あぶなっ。こやつは囮か。)
『MAP』と目視の2つの視点を同時に使える分油断しとったのじゃ。助かる。
これがヒトだと何に『偽装』されてるか分からない時は最悪混乱する時もあるのじゃ。
唯一の救いは『大きさそのものはそれほど変えられない』事なんじゃが
こいつら単細胞生物だけに別な方法でそれをある程度解決出来る能力も持っているしの。
実際、潜んでた仲間の一匹があっけなくやられた事に反応したのか
周囲のスライム達が集まりだし、1個の大きなスライム状へと融合しだした。
「うわ、結構纏まって居るのね。餌場だったのかしら?」とミィナが
呟いてるけど、下水路なんてそのものが餌場じゃないのかこやつらの場合?
最後に私の前に留まってた囮役のスライムが融合すると熊並みの巨体となって
目の前でポヨポヨ震えている。中身がある程度透けて見えてるのは
有り難いけどどの『核』が『中心核』なのか分からなくなってしまったのじゃ。
個々の時の『核』を叩いたとしても全体としては痛くも痒くも無いという
群体ならではの有利性はスライムの場合はあの狼達のやり方とはまた違う方向性を持つ。
「ズダダッ!」と地を蹴り『立体機動』で飛び上がると大きなスライムの中に浮かぶ
表面近くの『核』の一つに標準を合わせ尻尾剣で切り裂いてみる。
「ポヨン。」私が斬った分の『核』は真っ二つにはなったが全体はプルプル
震えてるだけ。元の1体分の体積が減ったりはしない。
(く。やはり中核を担ってる奴の『核』を直接攻撃しないと倒すの無理なのじゃ!)
群にして個であるそれは言うなればデカい『スライム』の成れかけの様な物じゃ。
個々の時の『核』をいちいち倒した所で『中心核』を倒さなければ意味が無い。
「ギャルオゥ!」ミラが火炎弾ブレスをお見舞いしたけど「ボフン!」
と当たった『スライム』はちょっと焦げた程度でポヨポヨ揺れただけ。
後は表面近くの『核』が数個潰れた程度かの?
(ちょ。不味いのじゃ。今は統率取れてないっぽいけど『核』が減ればどうなるか!)
幾ら一体化したとはいえ『核』が複数あれば個々の意思が混在化してしまい
マトモには動けないのは目に見えている。合体戦士系の『縛り』とでも言えるかの?
だけども邪魔な『核』を表面近くに置く事で『身代わり』と『間引き』が
可能なスライムはその状況すら利用出来る。
「ミラっ!危ないっ!!」と両腕が翼な分ワンテンポ遅れがちなリーナに代わって
アンヌがミラを引っ浚うと腕の様に身体を伸ばしたスライムの攻撃から避けさせる。
「ズシャ。」と重めな攻撃が去る時にちらとその『腕』の中で砕けた『核』が確認出来る。
(ふぅ。『間引き』は順調の様じゃがこちらはそんなやり方を何時までも許す心算はないぞ?)
とかなり大きくなった『スライム』を睨みつけてやる。
単細胞生物だけに融合した後いらなくなった『核』を盾代わりにする事など躊躇しないでしょうしね。再分離の際には『核』はまた分裂させればいいだけなので中心核以外は安い命です。サブタイトル的に「小さな」はもう似合わなくなりそうですがこのまま行きます。次回も戦闘シーンです。




