輪の正体
飛び道具の一種だった様です。
ミィナが尻尾をぶわっと膨らませ逆立てさせながらリーナを煽ろうとする
女生徒の斜め前に立ちはだかりアンヌがその横に立って3人の視界から
リーナを守る壁の一部となる。
総勢3vs3の女生徒達の口論やら睨み合いは直ぐに先生に察知された様で、
「こら!お前達、そこで何やってんだ!!」と
皆纏めて先生にお小言喰らっておった。
煽ってた連中はその理由を口尖らせながら先生に理由を説明しだす。
「だってリーナが真面目にやってるとは思えなかったんだもん。」
「いくら両腕が翼化してるからって言ってもアレは無いと思うんです。」
「そこのヒューイみたいに空飛べるんだからもっと別なので戦うとかさー。」
とか口々に文句言ってる様じゃけど、
「言いたい事は大体分かったが、お前達、まずここは学園じゃないって事忘れてないか?」
と先生が突っ込みを入れた。
「ここはギルドの練習場だ。忘れてないとは思うがお前達が借りて来た武器は
何処から持って来た?そこの武器箱だろ?」と武器箱郡を指差す。
「リーナも同じだ。あの輪投げの輪もそこから出して来た物だ。という事はそれは何だ?」
と女生徒達に答えを求めた。
「えっと・・・。誰かの忘れ物とかそれこそ『玩具』じゃないんですか?」
一人が私の方を合ってるよね?という感じでチラ見してから
自分の説に自信が無くなって来たのか声を小さくしつつ先生に自分の考えを告げた。
「ふむ。『玩具』か。ある意味ではそれは正しい。」と先生がその答えを支持し
周りを見渡して練習用の剣を持っていた生徒を見付けて手招きをして呼ぶと
それを受け取って『刃』を付けてない刀身を彼女らに見せつつ言う。
「お前達も既に見ている様にここの武器には『刃』は付いてないだろ?
よってこれらの武器は『玩具』だとも言えなくないか?その輪投げの輪も同じ理屈だよ。」
と言って彼女らに説明する。
それでも怪訝そうな連中じゃったが先生は頭をぼりぼり掻くと答えを彼女達に教えた。
「正解を先に言うとだな。それは『風切刃』と呼ばれる小型の飛び道具なんだよ。」
とそれの正体を告げた。
「これは『玩具』として表現されている物だが本物は全体が『刃』で構成されているんだ。」
とリーナが使っていたモノの本当の姿を想像させる事も忘れない。
「単なる『輪っか』だと侮るなよ?手斧をぶん投げるよりも正確さが要求される武器だけどな。」
とリーナがフォルダーに向けて投げていた理由をも彼女らに説明する。
「まぁお前達も見ていて分かってるだろうが、欠点としては回収が難しい事だ。」
と基本的には使い捨ての武器である事を説明する事も忘れない。
「それが縄とか木で表現されてるのは言ってみれば練習用だからだ。修理も容易だしな。」
と腕を組んで他にどう表現したらいいのか悩んでるご様子。
(そりゃなぁ。武器とは言ってもありゃ『暗器』に分類もされたりする特殊武器の一種だし。)
クナイとか手裏剣とか銭投げ同様に『チャクラム』は正式武器としては余り向いていない。
弾数制限はあるじゃろし余りデカくすると取り扱いはさらに難しくなる。
八つ裂き光刃じゃあるまいし個々の攻撃力は知れてるけど連発出来る分侮れない武器でもある。
一応納得したらしい連中を諌めつつもリーナには追加で棒とか振らせて
文句がこれ以上出ない様に調整する先生であった。
お正月に『投げ輪』をTVで見てた時に『何か似た武器無かったっけ?』という事でごっちゃにしてみました。実際の物とは練習方法とか異なると思いますけどね。『風切刃』は当て字みたいなモノです。




