不安を抱えつつ
ギルド内での『偽装』と『遮蔽』使用はお約束みたいです。
そうそう。予め先生からギルドの防犯に関する説明を受けた時に
皆が教えて貰ってた事なんじゃが、『遮蔽』と『偽装』に関しては
暗黙の了解というか登録してるヒトの都合もあるのでギルドへの来訪時に
使用していても問題は無いっぽいがその分自己責任が上乗せされるみたいじゃな。
(下手に『偽装』してそれが原因で絡まれたとしてもギルドは責任取らないよ。って事か。)
「何で『偽装』とか『遮蔽』は使ってても問題無いんですか?」
という生徒の一人の質問に「いろいろあるんだよ。」と先生が追加説明しとったが
要は冒険者の正体が貴族な方々であったりする事があるのでそれがバレるのを防ぎたい
連中が多いかららしい。まぁ資金が潤沢な貴族とかばっかりとは限らんじゃろうしの。
こっそり資金稼ぎしたい奴とか居てもおかしくは無いか。
それにスキルとして使わなくても『偽装』は扮装やお化粧とかでも可能じゃろうし
『遮蔽』は『鑑定』持ちにも身バレを防ぎたい連中が使いたがるらしくてな。
大概は装備アイテムに術式汲んで自動発動させてる者が大半なんだけれども
当然の事ながら探知魔法には引っ掛かってしまうのでいちいち相手していたら
キリが無いので通常は見て見ぬフリしてるんじゃと。
(ま、そうでなきゃ皆ギルドを利用しようとは思わなくなってしまうじゃろうしな。)
探知魔法が使われてるって事は犯罪や何かに巻き込まれた際にはその現場に居なかったという
不在証明にも使えそうじゃし、リーナの駆け込み場所が増えたって事では
その存在を知りえる事が出来るのは有難いな。
(最もギルド内クエが今回みたくいつも都合良くあるとは限らんじゃろうけどな。)
とアンヌの奮闘具合を見守る。
リーナにしてみても動き回れるクエの方が性にあってそうではあるし強制は出来んじゃろ。
今回呪文書の鑑定仕分けに回されたのは腕がまだ翼状で心許ないという
理由もある。埃払いにも役に立ってる様ではあるがの。
「そろそろお昼ですからお仕舞いにしましょう。」との先生のお声が掛かったので
整理の作業は終了に。全部整理してしまわないのは何日掛かるか分からんからかの?
お昼は適当に摂る事になったがギルド内の休息所は使用不可能という事で
街に繰り出す者や学園に戻る者等いろいろじゃ。ミィナ達は弁当持参なので近くの公園行き。
ギルド内の休息所が使えないのはお酒とかも提供してて、うっかり飲まされてりして
暴走されたりしたら困るからとか言ってたけど、過去に似た判例があったんじゃろうなぁ。
「腕の具合はどう?変なモノ掴まされたりしなかった?」と
出来るだけ隣に居る様にしていたらしいミィナがリーナに聞いている。
「んー。まぁ大丈夫だったみたいよ?例え『鑑定』する前の呪文書に
画鋲とか針とか仕込まれててもこの手羽先じゃ掠りもしないしね。」
とリーナが片眉を顰めながら期用に羽先で皆で作ってた一口サンドイッチを摘みつつ言う。
「それに見落としも無いから他のヒトがワタシの『鑑定』後のを
触って追加された罠が発動するなんて事もまずありえないわね。」と仕分け後の
呪文書の状態にも自信を持って胸を張る。
「こっちにも妨害とかあるかと警戒してたけど特に無かったわね。」と
ヒューイにサンドイッチの切れ端を与えながらアンヌが言っとるけど
あの勢いを邪魔しようとする輩が居たとすれば相当な命知らずじゃろ。
「あたしの方は特にこれ変だな。って事は起きなかったわね。」とミィナが
自らの手をニギニギさせながら言ってたけど感触とか思い出してるのか?
私が掘り出したりした物には針とか仕込む余裕は無かったじゃろうから
ミィナが発掘してたりしてた物はやや心配ではあるが大丈夫そうみたい。
「そういえばソラはどうなの?変なの口に刺さらなかった?」と聞かれたけど
針とかは刺さって無かったのでいいえ。と首を振る程度にしとく。
因みに毒の類いを使用するのは無謀にも程があるので仕掛けられる訳が無い。
仮にもギルド内倉庫なんじゃぞ?いくら何でもかんでも突っ込むからと言って・・・
「やぁ、居た居た。こっちは一人毒に当たってしまってね。大変だったよ。」
とキィーロが苦笑いしながらミィナ達に合流して来て言う。
ぎょっとなるミィナ達じゃったが、どうやら新たに持ち込まれた遺物とかの
扱いをしくじった結果らしい。驚かせないで欲しいのじゃ。
私はスキルで毒を扱えるからまだ何とか出来るかも知れんがミィナ達はなぁ。
この際解毒の呪文書だけでも買い出しに行って覚えておくかの?
学生の魔力カードでもギルドで買い物出来れば良いが。
これでソラがギルド内で『偽装』や『遮蔽』使っててもとりあえずは問題ないという裏づけが出来たという訳でもあります。でもギルド内じゃ今の段階じゃ買い物させては貰えないんだろうなぁ・・・。




