下準備
嵐の前の静けさの様な物らしいです。
リーナの部屋に買って来た荷物を届けつつ街での情報を
彼女に伝えるミィナ達。普通に考えたら卒業までの時間を考えれば
このまま下手に動かずやり過ごすのが好ましいのじゃろうが、
現実問題としてはそうもいかんからリーナも情報は欲しい。
何もミレーヌ様の周りの取り巻き連中だけが何かを仕掛けてくる
とは限らないからじゃな。
リーナがかつて外回りでの不在証明で嫌がらせの仕返しとかの犯人に
されたりするのを防いだ様に、向こうも似た手を使ってくる事は
一考せねばならん。なんせ切り捨てられる尻尾の数は向こうの方が
多いじゃろうからな。
俺様王子とその取り巻き達もこの期に自分達の邪魔になりそうな
連中の首根っこを押さえる準備に取り掛かる可能性すらある。
(鉄は熱い内に打て。じゃったけかな?)
大人達と違って学生な彼らは今後の事考えれば今の内が
一番無茶が出来る期間でもあろう。ある程度は学園が盾になってくれるのじゃし。
学園が3年生の学園外での点数稼ぎを推奨してるのは何も
即戦力を育てるのが目的だけでは無い。他人に篩に掛けさせてるんじゃよ。
あぁ見えて俺様王子もミレーヌ様も自分の取り巻き連中の選考を
既に行って来ている筈。巻き返しを図る連中が無茶をしないとは限らんしな。
ルゥスはそういう意味では分かりやすい例じゃったから俺様王子も
安心して傍観出来たし、配下としての戦力強化にも繋がったから
特にお咎めも無く側に置いてるし、重宝がられる様になるから
ルゥスもそれを利用して成り上がれ易くなった。要はWINWINな関係じゃな。
だが、ルゥスの努力を知らん連中は『単なるヒト』でもあぁなれるんだから
自分だって!と斜め上な努力をする確立が高くなってくるじゃろう。
下手すりゃ親の首を真綿で絞めまくり気が付いたら親毎自滅しかねない奴も出てくる。
俺様王子達としてみりゃ楽なモンじゃろうよ。なんせ相手が勝手に自爆していって
くれるんじゃからな。例え『乙女ゲーム』絡みで無くてもそれは大歓迎じゃろ。
後は貴族の親達が如何にそれに振り回されずに済むかどうかはその貴族が周りに
どう見られてるかによっても代わってくる。いちいち戦争せんでも領地とか地位とか
好きに出来る様になるのならそれに越した事は無いじゃろうしな。
リーナ達は気付いてないが既にかつてリーナの周りをうろついてた『影』と思われる
連中もしっかり『MAP』に写ってる。
『傍観者』も油断はならんからの。私もより気を付けなければ。
ここでの『乙女ゲーム』絡みの『イベント』は今後を選考する側にとってみれば答えを得る為の方程式の様な物。空欄を埋めよ的な問題では最も重要視される部分でもあるので解く方としてみればこれだけ楽な事はないのかも知れませんね。




