年始の鳥舞
華やかな行事の様です。
今日は貴族な方々が主催する年始の行事の日じゃ。
前年の夜にやる除夜の鐘とかは諸事情で無いものの、こういう顔見世みたいのは
率先してやるのが貴族の慣わしになってるらしくてな。
除夜の鐘が無いのは異世界だからでは無く、生活形態の違いにある。
そりゃなぁ。採取クエなんぞは夜越しで起きてたらその分出来んくなるからの。
いくらストックやらがあるとは言ってもそれはそれ。
「本日はお忙しい中を御出で頂き・・・」
とか代表者の方が言ってる様に時間に余裕のある者が式典に出ている。
ミィナ達は学生だしこういう機会に貴族社会に触れられる事は有難いので
ほぼ強制参加に近い。まぁ中にはあえて参加するという選択肢を
外す強者もおらん訳では無いけどな。
ルゥスやケインの姿は一見見当たらないが俺様王子の警護の方に
回ってるらしいので余り気には掛けていない。
ルゥスはまだ機敏には動けないが、逆に盾役としては適任じゃろ。
ただ回復手段の方をどうするのか気になってたんじゃが、
基本は『魔石』を飲み込んだ時と同様に自らの魔力と同調させさえすれば
初歩の回復呪文でも効くには効くんじゃと。
純粋な『銀狼』じゃないからその分融通が利くのかも知れんがの。
(そういやリーナの姿が朝から見えんのじゃよな。何処行ったんじゃろ?)
私ら『召還獣』は会場の隅の一時預かり所で待機中じゃ。
そこの受付はアンヌが他のモノと一緒に担当しとるんじゃから
てっきり一緒に来てるとは思っとったんじゃがなぁ。
ヒューイは今はアンヌの隣で看板よろしく止まり木で大人しくしてる。
(ミラも置いてってるから外回りのクエに参加してるとは思えんが。)
ミィナは一般参加者と一緒に舞台の方を見てる。
「続きましては鳥ヒト達による優雅な祝福の舞をご堪能下さい。」
「パチパチパチ。」盛大な拍手と共に舞台に着飾った鳥ヒト達が
隅から次々に出て来た。なんか金髪ドリルなご令嬢が中心になってるけど。
(ほー。あれはミレーヌか?これまたご丁寧に巫女衣装みたいのに身を包んでる様じゃな。)
皆似たり寄ったりな巫女衣装ではあるが、良く見ると材質が違ったり細やかな部分に
刺繍やら施してあったりと個々に主張の入った西洋の巫女衣装といった趣ではある。
彼女らはまず地上で鳥が見せる形のディスプレイ行為を元にした舞を舞う。
(本来は雄が雌にやる求愛の踊りにも似ているがあれは邪を払う踊りかの。)
真ん中の金髪ドリルの舞いの旨さは他の者に比べるとかなり旨い部類に入ると
思われるが、何か隅っこの方で目立たない様にひっそりと舞う2対の羽毛を持つ
どっかで観た事のある様な鳥ヒトの舞の仕方もかなり悦に入っていると思うんじゃよな。
舞台の両脇で踊るはこれまた小奇麗な衣装で着飾り可愛く囀るハーピー達。
彼女ら鳥属達は入れ替わり立ち代り舞台を所狭しと静々と舞う。
やがて鳥ヒト達はその両腕を翼へと『翼変化』させると大空へと飛び立った。
ハーピー達もそれに混じって優雅に飛び立っていく。
(やるのぅ。これはまるで『航空祭』みたいじゃわ。)
かつてミィナ達の目前でリーナが見せた様な鳥ヒト達による『翼変化』による大空の舞い。
(そーいや『乙女ゲーム』の『ヒロイン』もまた一種の『巫女』じゃったっけな。)
例え『攻略対象』の『攻略』はしていなくても、絶対こなさなくてはならない
特定の『イベント』だけは避けられないんじゃったけかな?まぁこればっかりはしょうがないか。
大空を舞う鳥ヒトとしての『巫女』衣装で舞うどっかの誰かさんには今は心の中で
エールを送っておいてやれば良いかの。(がんばれよー!リーナ。)
暫くは両腕が翼化してるじゃろうリーナの補佐は私らがやればいいだけの事だしの。
いつの間にか隣に来ていたミラと共に大空の舞いに見入っていた。
イメージ的には能で演じられる様な鳥の舞と放鳥会をミックスした様な感じです。ディスプレイ行動を鳥ヒトの女性がやるのはこの時位なので貴重と言えば貴重なシーンではあります。(全員未婚なのは言わずもがな)




