回避しました。
どうやら様子を見に来た様なんです!?
後ろから声を掛けて来たのはなんとミレーヌじゃったのでギョッとする。
俺様王子が来てるんじゃから、ミレーヌが付いて来てる事は想定しておかなきゃ
いかんのにすっかり忘れてたわ・・・。
海の町ならばいざ知れず、ここは保養地でもあるんじゃから
安全面の上でも安心して居れる所ではあるんじゃろうけど。
というか、普通こういうケースだとまず先に取り巻き連中とかが
誰かが先に入ってるかを確認したりして追い出したりするよな?
少なくともそっちは貴族なんだしさぁ・・・。いいのか。それで。
とりあえず、軽く会釈してそちらを見ない様に邪魔にならん様に隅の方に移動する。
てか良く考えたらこっちはソロで動き回る『狐ヒト』の女の子なんじゃよな。
追い出す基準が良く分からんがミレーヌ達も一応気を使ってくれてるのかの?
「あなたも保養に来ていたのね。という事はこちらに知り合いが居るのかしらね。」
とかのたまってるが、うっかり返事は出来ないのでコクリと頷く程度にしとく。
(貴族との対応の仕方なんぞカンペでもないと旨く出来そうにないんじゃがorz)
頭にタオルは巻いてても金髪なドリルを靡かせ鼻歌なんぞを嗜んでおる様じゃがどうしよう。
進退に窮してるとぞろぞろと取り巻き連中がタオルで身体隠しながらも
入ってくるのがちらりと見えた。
ひー。何とか助かる道筋が見えたのじゃ!さりげなく後方へと下がり捲くって
ミレーヌとの距離を稼ぐ。
「ミレーヌ様、お髪をお洗い致しましょうか?」と取り巻きが進めてくれて
ミレーヌが「あらそう?じゃぁお願い出来るかしら?」とそれに答えて移動し始めたら
ちょっと遅れ気味に湯船から脱出。桶に入れて置いたタオルで身をさっと包むと
そそくさと失礼の無い様に後ろをみせずに入り口まで移動すると、
ペコリ。と頭を下げて敬礼し、静かに脱出に成功した。
後は荷物置き場の小棚に畳んで置いた旅人の服を急いで着て戦術的退却をし、
適当なトイレに入って『MAP』で周りを確認して『変化』を解くと、
わざわざ遠回りして行き先を誤魔化しミィナ達の部屋へとひっそりと帰還する。
(せ、精神的にどっと疲れたのじゃ。あんだけ疲れる目に遭うとは思わんかったのじゃ。)
何事かと首を伸ばしてこちらを伺ったミラが安心したのか再び毛玉状に戻る。
(はぁ。当分の間『狐ヒト』での入浴は見送った方が良さそうじゃな。)
と小さくため息を付いた。この調子じゃ入りに行く度にミレーヌに遭遇しそうだしの。
まぁいいか。『召還獣』用の風呂だって別に悪くは無いんでの。
芋洗い状態でも気軽に入れるだけありがたいと思わねば。
ソラが言及してた様に彼女が『狐ヒト』でなければ事前に出る様に教えて貰えてたのですけどね。抜打ちチェックのみたいな物でソラの対応がそれとなく試されてた様です。これが正解なの?と言われるとかなり微妙ですがまぁ許容範囲内でしょう。多分。