カラクリ解説と新たな邂逅
反射を利用していた様です。
ふーっ。何とか時間をやり繰りして『変化』使って
『狐ヒト』になれる時間を確保出来たのじゃ!!
これでどうどうとヒト用の露天風呂に入れるのじゃーっ。
ドワーフの集落への峠程では無いにしてもこの辺にも雪は降る訳でな。
ミィナ達は雪を利用した氷室とかの整理や雪かきの補助のクエストを、
ケインやキィーロは炊き木を割ったり運んだりする重労働系クエやった結果、
約1名除いて全員部屋でひっくり返って休んでる真っ最中なんじゃ。
ルゥスはちょっと軽めな手伝いクエストをリハビリ代わりに
身体をギシギシと鯱場背らせながらも粗治療中。
監督役は保養というか冬場の立場調整の為に来てた俺様王子と
その取り巻きな学園な生徒達。『銀狼』の『ワーウルフ』なんて存在は
それこそ滅多にお目に掛かれん存在なんじゃし、何かされるな。とは思っとったけど
案の定というかしっかり連中の研究対象にもなってる様で、
学園での単位加算したい奴とかにしごく真面目に経過観察されとる様である。
まぁそのお陰でミィナ達の負担が減るんでそれはそれで有難いがの。
私もうっかり『狐巫女』な姿晒したら研究対象とかなるんじゃろか。くわばらくわばわ。
湯船に入る前に軽く身体を洗って湯に浸かり水面を見る。
まるで鏡みたいに反射して雪が一時的にやんで晴れた空を映してる。
(鏡か。そういうや『銀狼』も光の反射を利用していた様じゃの。)
鉱山の空気口はその性質上真っ直ぐには地上に繋がっていない場合があるんじゃよ。
雨風が吹き込んで来たりするのを防ぐ為とかの理由でな。
そもそも例え真っ直ぐにあの空間に繋がってたとしても
そのままでは月の光量があの空間に満ちる位には足りる訳が無いんじゃ。
では、どうやって月の光を集めたのか。と言うとじゃな。
なんと『凹面鏡』を造りおったんじゃよあ奴ら。しかも反射する方向は
鉱山の空気穴の所に向けて何箇かに分散設置するというやり方までも使ってな。
材料はというと、主に『銀狼』の抜け毛。後は兎に角光を反射する物じゃ。
そういう物を固めて置く事で『凹面鏡』を作り上げ空気穴入り口に光を集約、
後は中の折れ曲がってるだろう所々に咆哮を利用して『銀狼』の抜け毛を設置して
あの空間まで月の光を導くという寸法じゃ。
しかも最後の仕上げとして『銀狼』自身が空気口の真下に陣取って、自ら月の光を受けると
同時に室内へと拡散反射して『夜行石』の鉱脈に月の光を貯めさせる役目を負うという
実に巧妙な仕組みを組み上げてた。って事じゃったんじゃよ。
私は空気穴からの月の光の受光をしてる事までは見抜けたけど、そういうカラクリになってた
という事は後からあの鉱山の調査に入った連中からの報告で分かった事でな。
『銀狼』の知恵というか応用力には頭が下がるわ。
そこまでしてあそこで攻略者達を待ち構える事で自分に視線を向けさせ群れ全体を守る。
もし仮に群れ全体で襲い掛かって来られてたらドワーフの集落なんぞ一たまりも無かったかも
知れんな。おそらくじゃがあの『銀狼』はもう寿命が尽き掛けてたのかも。
最後の舞台の花形としてあそこを選びに選んだとしたなら全盛期は相当な兵じゃったかもな。
「あら。珍しい子と遭遇致しましたわね。学園に居た狐ヒトな娘だったかしら?」
げ。思いに耽っていて新たに入浴者が入って来てた事に気付かなかったのじゃ。
イメージ的には月からのマイクロウェーブ発射です。但し一次集約地点は衛星軌道上の衛星では無く地上ですけどね。さてソラが邂逅したヒトは誰なんでしょうか。