告口
俺は既に 死んでいる!?
「うーーん。」ここは何処だろう。彼が目を覚ました時、辺りは薄暗い空間だった。
どうやら固い床に倒れ伏せているらしかったのでペタンと座り直して周りを見回してみる。
『気が付いたかね?少年よ。』と何処からともなく『声』が聞こえて来た。
きょろきょろと周りを見直して観ても自分以外誰もいない。
ついうっかり「誰?ここは何処なの?」と思わず“素”で聞いてしまう。
『ほぅ?妙な魂だとは思っていたがそちらが“素”か?』と興味ぶかそうな『声』が聞こえて来た。
ぐ。ここは『男』らしく「ここは何処だっ!!」とでも言うべきだったのか。
誰だか知らないが馬鹿にされる前に立て直さないと。
慌てて普段通りの喋り方に直して言い返す。
「す、“素”じゃねぇよ!!・・・ちょっと言い間違えただけだろ!?」
だが何処にいるのかすら分からない相手にハッタリが通用するとまでは思えない。
『ふむ?どうやら魂の順応性に揺らぎがある様じゃの。成る程、“条件”は満たしているという事か。』
とこちらの焦りや誤魔化しを気にする様でも無くその声は告げる。
「・・・条件?何の話しだ!?」と声の聞こえてくるだろう虚空の方向を仰ぎ見るがやはり何処に居るかは分からない。
そういえば俺のナップサックな鞄も何時降ろしたのか見当たらないな。
『くっくく。そう焦るでない。別に獲って喰おうという訳では無いのでな。』
と目の前に人魂みたいなモノがユラユラと現れた。コレが声の主なのか?と思わず片眉をしかめてそれを見やる。青く熱くも無いソレは何も無い空間も相まって幻想的だ。
『ソレはわらわ自身では無いぞ?まぁ言うなれば“目印”の様な物じゃ。』と人魂から『声』が響く。
成る程。スピーカーの様な物か。姿を見せる気はないんだな。と一人解釈する。
『ん?何か勘違いしとる様だが、まぁ良いか。早速で悪いが御主は先程死んだのじゃ。』
とそっけない感じで『声』が告げた。どうも喋り方からすると『女性』みたいだな。
「そうか。『死んだ』のか。短い人生だったな。・・・って、俺が『死んだ』の!?」
と思わず人魂?に突っ込みを入れてみる。
『そうじゃが?それが何か?』
即答かよっ!!!!!
さていきなり死んでしまった『彼』に待ち受けるモノとは一体なんでしょう。