銀狼退治はしたけれど
戦闘シーン?いいえ。単なる邪魔をしてるだけです。
今度は『銀狼』にトテトテと近寄ってく。いきなり走り出さないのは
ルゥスを下手に刺激しない為と、『銀狼』の意識が残ってる事を確認する
為である。既に気絶しとるんなら別な方法考えなきゃいかんしな。
ぎろり。と片目で凄まれた。良かった。まだ意識が残ってた様じゃな。
くわっと口を開けて威嚇されると同時に緑色の小さい気泡が数発こちらに向けて発射された。
「ソラ、危ないっ!下手に近づいちゃ駄目!それ空気砲よ!!」
とミィナが教えてくれるけれども、私が喰らいたいのはそんなちゃちな豆鉄砲では無い。
(そんなもんいらんわ。私位なら軽く吹き飛ばせる技が他にあるじゃろうに。)
空気砲を掻い潜るでも無く冷静に地面に着弾するのを見届けつつ
『銀狼』の頭上を取るべく『突進』で駆け寄ると同時に『立体機動』で飛び上がる。
着地するのはその閉じ掛けた口の上。寄り目になる『銀狼』が私を退けようと
する前にまた『立体機動』で上へと跳ね上がる。
「グルルル。ガルウヴァッ!!」ヘロヘロながらもカチンと来た『銀狼』が
私の滞在している上空へと向けて咆哮を放った。
(ふ。ほぼ遠吠えのポーズじゃから放ちやすいじゃろ?じゃがそれも狙った通り!)
当然の事ながら踏ん張れる地面も無いから吐き出された緑色の突風で私は上空へと
飛ばされるが、私は口から離したマトックモドキの残骸の柄を入れる部分の穴に
尻尾の先を通すと『軟化』と『硬化』を使って即席の尻尾マトックへと
変化させつつ、風圧と重量差を利用して回転力を発生させると『転がる』も併用して
空間の天井付近までふっ飛ばされた体を装いつつも『銀狼』の頭上にあった
換気口付近へと尻尾マトックを突き刺しアンカー代わりにすると
その突き刺した時の反動をも利用して「ビターン!!」と身体全体で
天井にあった換気口を覆う事に張り付いてみせる。足りなきゃマントでも使うかの?
真下で『銀狼』がアングリと大口開けたまんま呆然としてるみたいじゃが、
月の光を利用するんならば壁では無く天井に換気口がある所が楽じゃろうから
『銀狼』もその直下かその付近に居ると考えた結果こうしてみたんじゃが、
結果はどうであろうか?
(ここが不正解ならヒューイにも手伝って貰いたい所ではあるけどな。)
だがその杞憂は徒労に終わり、空間の月の光の光度が目に見えて落ち始めた。
使ってしまえば当然だがその分は減る。幾ら貯めておけるとは言え限度はあるからの。
しかも『銀狼』とルゥスが無駄に使用してる状態だったからどんどん通常空間に
近く状態となっていく。後はもう後が無い『銀狼』を退治してくれれば良いだけじゃ。
ガクっと身体を崩すルゥスとまだ踏ん張って4つ脚で立ってる『銀狼』。
キィーロ達がルゥスの代わりに『銀狼』達と対峙しようと前進しようとするも、
「ジャマはすルなと言ってルだろうがっ!!」と気配を察したルゥスが
力を振り絞って『銀狼』へ突進するとまだ上を見上げてた状態だったそやつの首を
片手に握り閉めていた赤く輝くセイバーで掻っ切っりぶっ倒れた方が早かったのじゃった。
(恐ろしい程の執念であったがルゥスの状態も気になるし、降りるとするかの。)
尻尾マトックの刃をズボっと天井から抜いて自由落下で落ちる。
途中、ヒューイが空中で掻っ攫って地面に安全に下ろしてくれたのでミィナ達も一安心じゃ。
さっさと『銀狼』を素材状態にして脱出した方がルゥスの為にも良さそうじゃの。
『ワーウルフ』化を通り越した獣化が彼にどんな影響与えてるか心配じゃわ。
回路となってる『銀狼』を倒してしまえばルゥスも負荷が減るので自力でなんとかしようとしたみたいですね。『銀狼』とソラを激突させても正直まともに倒せそうにないのでこうなりました。




