一匹狼が狙うモノ
ほぼルゥス視点です。
私達が『魔狼』達の2つの罠の所で苦戦していた頃、ルゥスは一人奮戦していた。
一撃目の咆哮はまともにに喰らってしまったものの、
持ち前の『魔力操作』と咄嗟に取った受身により壁に激突した痛みを最小源に
抑える事に成功した彼は、次の瞬間には飛び掛って来ていた『銀狼』の牙による
攻撃と前脚による押さえ付けから辛くも逃げ延びており、
横に転がったかと思うと素早く立ち上がり、セイバーを振るっていた。
キィイン!金属音と共に『銀狼』の追撃の爪に弾かれる赤く輝くセイバー。
「グルルル!」ぱっと後ろに下がった『銀狼』が一定の距離を取りつつ
隙を伺っている。
「ファイヤーボール!」お返しとばかりにルゥスが火魔法を2~3発
けん制代わりに『銀狼』に対して放ったが、防御体制に入った『銀狼』の
身体に当たりはしたものの、そのまま弾かれた様に軌道が剃らされ
地面に全弾とも別々に着弾する。「ジュドドドーン!!」
詠唱破棄をしているのか呪文名だけで発動された初歩系の火魔法では
やはりというか『銀狼』には反射されてしまうのだが、
ルゥスが狙っていたのはその防御体制を『銀狼』にとらせる事であり、
その瞬間にも彼はセイバーを突き立てるべく間合いを詰めていた。
「くらえっ!!」切り裂くのではなくまるで槍の様に突き出される
赤い色のセイバーをその銀色の体毛で「ヂィィィン!!」と火花を散らしながらも
避け切ろうとした『銀狼』だったが、間に合わず腹側を若干切り裂かれてしまう。
「ぐわっ!」斬り裂かれた痛みをバネにして伸び切った体制のルゥスを
『銀狼』が斬られた側の後ろ脚ですかさず蹴り飛ばして退避する。
空間内に満たされている光によって増幅された『銀狼』の回復力は
その傷口を直ぐに修復に掛かっている様だが、何故か治りが悪い。
「ふっ。ここに来る前に祝福と強化を施しておいて正解だったな。」
と赤く輝くセイバーを構えなおすルゥス。
その時彼の耳に「ドッシーーン!」という音が空間への入り口の方から聞こえてきた。
「ん?・・・成る程。後続を断った心算か。取り巻きな『魔狼』達にやらせたな?」
と答えは期待出来ないだろうがその『銀狼』に語りかける。
「残念だったな。俺は最初から一人でここに突入してる。後から誰が来ているか知らんが。」
とセイバーの刃を前方に突き出し、もう片方の手をまるで鉤爪の如く構えると
「邪魔が入る前に貴様を倒させて貰う!!」
くわっとその目をかっ開きその体制のまま間合いを詰める為に突進した。
防御体制の『銀狼』が慌てて口から緑色の気泡を数発発射し突撃を阻止しようとするが、
「そんな空気砲等に構っていられるかっ!!」と
ルゥスはそんなけん制砲には構わず姿勢を低くしつつ懐に突っ込んでいく。
『銀狼』はその頭上を飛び越えて回避しようとしたが、その体制を最初から
狙っていたらしいルゥスの抜き手が再度セイバーによって切り裂いた後の
『銀狼』の腹側に吸い込まれる様に突き刺さっていたのはほぼ同時の事だった。
何気に新魔法が2つ程披露されてますが『銀狼』のはルゥスの目的の前ではまるで無意味だった様です。彼が狙っているモノとは一体何でしょうか?戦闘シーンではありますが主人公絡みでないので特に記述してません。




