水場の罠(VSブースト魔狼Ⅱ)その参
ケインが新しい魔法剣をお披露目する様です。
コロコロ転がりながらも周りの情報を出来るだけ集めてみる。
『魔狼』達は纏った緑の気流によって旨い事攻撃をずらしている様だが
一定以上の攻撃は通してしまうのかキィーロの攻撃なんかは
当たるギリギリの所でスルリと躱している様じゃな。
「げほっ。」ガシ。ケインが水場の縁に居た『魔狼』の後ろ脚の一本を
藁を掴むが如くとっ捕まえて命綱代わりに縁によじ登ろうとしだした。
慌てて2匹の『魔狼』が助けに入ろうとするが、バシャバシャとケインも
必死なのでつい躊躇してしまっている。
そりゃ、とっ摑まれて水の中に引きづりこまれたくはないものな。
(やれやれ。ついでと言っては何だがちょいと手伝ってやるとするかの?)
と攻撃から逃げるフリをしつつ、水場の方へとワザと移動する。
これは彼らが張った罠その一を旨く利用する為じゃ。
ほれほれ。もっとこっちこっち。そぅれ、嵌まったーー。「ぽっっちゃーーん。」
まだ暴れてるケインの手の届く範囲外の水場に落ちる狐の『玩具』。
罠その一とその2は単独でも作動する罠じゃがセットでやると戦闘具合に
よっては罠その一が旨い具合に作動する事がある。従って『魔狼』も
「ははは、こいつドジでぇ。」位にしか思わんじゃろうがそこが狙い目でな。
水に落ちた瞬間に『軟化』を使用し身体をちょっと弄ると『硬化』で固定して
陸上に居る『魔狼』達の顔面に余裕を持って照準を合わせると、
(喰らえっ!!『魔力操作』『狙撃』!『水鉄砲』!!!!)
と水場の水を口から発射する。
「キャイ・・・ガバゴボ。」思わぬ放水による攻撃に目を閉じて避けようと
して隣の『魔狼』につっかえ、それに迷惑そうな顔をしてこっちを見た
もう一匹の顔にも『水鉄砲』をお見舞いして一時的に視界を奪ってやる。
(まさか水に落とした相手に『水鉄砲』で攻撃されるとは思うまいっ。)
隣の方ではケインに片方の後ろ脚を掴まれた『魔狼』が
水場に落ちまいと必死に縁にしがみ付いている真っ最中じゃ。
落とした方が落とされたんじゃ敵わないんじゃろうし、ケイン程では無くても
陸上動物というのはいきなり全身浴なんてのは余り好まないんじゃっけ?
おっと。あんましケインに近寄るとこっちも浮き輪代わりにされてしまうな。
「キューーン。」いよいよ情けない声で助けを呼び出した『魔狼』じゃが
近寄ってこようものならこっちの『水鉄砲』が顔に直撃するので遠回りにしだす。
そうでなくてもそいつらの後方ではミィナ達が激闘中なんでうっかり隙を見せられない。
ようやく水場からケインが脱出しおわり「ゲコガホ。」と息を整えてる隙に
逃げ出した『魔狼』がびっこを引きつつ後ろの方へと下がるが逃げる気配はない。
ケインが水を滴らせながら戦闘体制を整えるべく腰の剣をフォルダーから
抜き放った。助力は助かるが大丈夫かの?
「ごほ。お前達、よくもやってくれたな、今度は俺の剣を受けてみろっ!!」
と片手に持った地面に向けたままの剣をチャキっと振るわせると、そこに青い光が集中しだした。
(なんと!あれはあのガレオン船モドキの時の突発ボスが使ってた奴ではないか!)
以前あの突発ボスがキィーロの『竜鱗』を切り裂いた技を使う時に剣に付与していた青い光。
その光が増す毎にケインの身体の水分が波が引く様にその剣に集まっていく。
こんな所で『水鉄砲』に使い道が。ガレオン船モドキ内では使う機会が無かったのでここに持って来ました。水泳場なんかでミィナ達相手に使ってきゃっきゃ言わせても良かったんですが何分攻撃手段ですしね。うっかり岩穿って顔青ざめさせても悪いし狼さんに被害にあって貰う事にしました。そしてケインの新技ですが、火炎の次は水!という安直な理由で追加させてます。次回も戦闘シーンです。




