さらなる奥へ
刻印がなされていた様です。
あの『魔狼』が飲み込んでいたという『月光石』というのは
『月長石』とも言う月の光にも似た輝きを放つ宝石じゃったかな?
『夜光石』といい『月光石』といい、夜に行動する狼種に取っては
垂涎もんじゃったりするんじゃろうか。
石系飲むのは鳥種の真似っつーか骨を胃の中で磨り潰すのが
目的じゃとは思うけど、それってどうなんじゃろ?
破片になってるつー事は最後は砂状になって体内から排出されてるんじゃろうけどな。
「うぅー。これさっきの『魔狼』達の仕業で間違い無さそうだわ。」
とアンヌが何か所かある支道への足跡を大まかにでも改め終わったのか
ため息を付いて地面から顔を上げて立ち上がった。
「キューイ。」地面に降りてテトテトとアンヌに歩いて寄って行ったヒューイが
アンヌが足跡を見る為に地面に置いてあったカンテラモドキの取っ手に飛び乗ると
アンヌの代わりを務めるというのかキョロキョロと周囲を観察しだす。
(いや、おぬしは鳥目なんじゃし暗がりは苦手じゃろうが。手伝いたい意気は買うけどの。)
それでもその目は鋭く見据えられており、ふと壁の光の輪の際ぎりぎりの所に
その視線が吸い寄せられるかの様に投げかけらるとパッとカンテラモドキを
掴んだまま翼で起こした風を操り空中に浮かび上がり、それに素早く近づいていく。
「ヒューイ?どうしたの?あ。それ、もしかしてっ!?」
とアンヌがヒューイが向かった先の壁に薄く彫られている図形に気が付いた。
(お?まるで三日月みたいにへずった形の図形じゃの。光源は奥の方か?)
それは月の光が坑道の奥から注いでいる感じの細い三日月の図形じゃった。
喰い入る様に『鑑定』しだしたアンヌの様子にミィナ達が近寄って行く。
「これ、最近掘られた物ね。剣か何かで斬った跡にも見えるけど?」
とミィナが首を捻る。
「うん。そうね。『魔狼』達に消されない様にする為にも月を模したんだわ。」
とアンヌが答えを出す。
(ほぅ。セイバーか何かで斬ったんじゃろうがそこまで考えてたのか。)
三角形とか矢印だったら速攻で消されてたかも知れんが
月の形なら見逃して貰えるかも知れんな。迷い子防止用じゃろうが助かるわ。
「ヒューイ、お手柄よ。この方向で正しいみたい!」とアンヌが
月が照らされている側の支道への口を差し示す。
そうと分かれば壁に気を付けながら先を進めば良いんじゃ。
ちーと気になる事も増えたし急がんとな。
月に拘っているのは狼達だけでなくルゥスもだった様です。狼達が石を飲み込んでるのは食べた骨を砕きやすくする為だけでは無い様で!?次回はルゥスがピンチに陥る様です。




