ドワーフの村へ
すれ違う様です。
再構成班の人員の入れ替わり要員を待ってドワーフのおっちゃんらと
一緒になってドワーフの集落へと移動中。
無論、ただ移動するんで無くて2羽立ての鳥馬が曳く
荷台に切り出した間伐材とか積んだ荷車に随伴してじゃけれどもだがな。
お月見饅頭は出したまんまうっかり寝落ちしてしまってたので
皆に気付かれる前に『ストレージ』に仕舞っておいた。
幾ら中では腐らないとは言っても後で食べちゃわんとな。
山道をある程度進めばそれなりに手入れされた街道に出る。
山裾の村からは若干遠回りな道じゃがこちらの方が勾配が緩めで楽じゃな。
ルゥスは急いでたんで私らが居た方に近い云わば裏道を通ったのかも知れん。
結構一人で突っ走るタイプっぽいから無理してなければ良いが。
そうこうしている内に先程よりヒトの手の入った人工林に差し掛かった。
鉱山も近い事じゃしつい手短な所から森林資源に手を付けた結果なんじゃろうけど
こっちはこっちで自然に返して行かなくていいのかな?と目を凝らすと
どうやらこちらは建材用やらの針葉樹林帯の様ではある。
まぁ生活も掛かってるじゃろうし総てを多様性な森に造り直す必要も無かろう。
鍛冶や何かに必要な火力は魔法だけに頼る訳にもいかんしな。
ドワーフのおっちゃんの案内で集落の中のクエスト凱旋所に行くと、
やはりというか学園の生徒が何人か既に到着しているとの事だった。
「そうだ。ついでに武器屋も見ていくかぃ?祝福された武器は直ぐに用意は出来んがね。」
とガハハと笑うドワーフのおっちゃんに場所を教えて貰って行った先に
むっつりと黙り込んだルゥスが居た。
流石に一夜では攻略し切れなかったのか少々不満顔。とは言えそんな事は私らは知らんし
なんか機嫌悪そう位にしか思えないんじゃけど。
どうしようか?とミィナがリーナ達の顔を振り返る。リーナの顔がいつもより引き締まるの
のを仰ぎ見て私はこれが乙女ゲー絡みの『イベント』の一つである事に気が付いた。
これはアレか?下手に話しかけると話が進んで恋愛フラグが立つって奴ですか!?
「ん。何だ。お前達も『銀狼』目当てで来たのか。」と先にルゥスがこちらに気が付いて
話し掛けて来た。相変わらずのポーカーフェイスだけど声質がやっぱり機嫌悪めじゃな。
「こ、今日は。ルゥス君も『銀狼』目当てで来てるんだよね?」と恐る恐るな感じでアンヌが答える。
「あぁそうだ。高位な狼種とやりあえる機会は滅多に無いしな。」と腕組みしながら
店内を見回している。良く見るとセイバーを持っていない様じゃがどうしたんじゃ?
「おーいあんちゃん、悪いがあんたの剣の修理はもうちょっと掛かりそうだ。」
と店の奥から店主らしいドワーフが出て来て告げる。
「修理と強化が終わったら宿に届けるからそれまで待っててくれや。」と手ぬぐいで汗を拭く。
私らより先行してた分クエストを消化しておった様じゃな。流石と言うべきか。
「分かった。・・・・お前達もクエストを受注するんなら俺の邪魔だけはするなよ。」
と言いたい事だけ言うと彼はさっさと宿の方向へと去っていった。
ミィナが「何カリカリしてるんだろ?」と小首傾げておったけど何でじゃろな。
「あんたら彼の知り合いか?2本も剣を預けていったんだが結構無茶な使い方をする奴だな。」
と店主なドワーフが恐らく苦笑しながら髭をもごもご動かして言った。
「片方は真っ二つだわ、もう片方は刃こぼれしてボロボロだわと酷使しおってからに。」
と呆れた様に言い、
「魔法剣だかやるのはいいがあれはもはや打ち直しというよりもはや造り直しじゃわぃ。」
とため息を付いて言い切りおった。何をどうすればそうなるんじゃよ。
「んで、あんたらも『銀狼』のクエストに参加するのか?まぁとりあえず武器を見ていくかぃ?」
と気持ちを切り替えたいだろう店主がこちらに水を向けて来た。
祝福された武器とか真っ先に勧めたい所じゃろうがまずは在庫から見せたいのかも。
ルゥスはルゥスで攻略を続ける気の様です。リーナの選択も気になる所ですが果たしてどうなる事やら。




