満月の下で
一方その頃という物らしいです。
その夜、何時もよりも明るく静かに降り注ぐ月明りの元、ルゥスは
赤く輝くセイバーを両手で構え『銀狼』の率いる『魔狼』の群れと対峙していた。
「ふ。やはり満月の夜ではこちらが数では不利、か。」
どうやらワザと満月な日を選んで攻略しているらしい。
足元には斬り捨てられたらしい『魔狼』が2~3匹既に転がっている。
昼間はその性質上廃坑の中に引っ込んでる連中が多い『魔狼』ではあるが
夜ともなれば狩りや縄張りの巡回の為に外に出てくる。
『銀狼』を守る為なのか『魔狼』の群れが複数の廃坑に巣を構えている為に
どの廃坑の入り口が正解なのは入ってみないと不明だし、
尚且つ『魔狼』達が穴掘りで手短な廃坑を繋ぎ合わせてしまった結果、
ダンジョン並みに内部が複雑化してしまっており、昼間でも単騎突入は難しいと
踏んで夜間に廃坑外での攻略を選んだ事に関してもルゥスは特に反省はしていない様だ。
☆☆☆
一方、そんな事になってるとはいざ知らず、ミィナ達は森の再構成の『クエスト』
の請け負っていた部分を終えると宿の大部屋でひっくり返っていた。
ちなみにキィーロは気を利かせてなのか入口付近で寝てたりする。
森の再構成自体はまだまだ続くが今回は体験学習みたいな物なので
作業に参加するのは今日でお仕舞いじゃ。
私は『玩具』だし気分的には疲れてても肉体?的にはまだ余裕なので
窓辺でお月見と洒落込んでおる真っ最中なのじゃ。
『ストレージ』から海の町の祭りの戦利品の中から取っておいた饅頭を
2~3個出して夜食用に使ってた空き皿に載せて窓辺に置いてお月見積み饅頭とする。
(あれから『ストレージ』には状態保存能力がある事が判明したしこういう時には助かるわな。)
「キュル?」いつの間にか起きて来たらしいミラが不思議そうな顔して近づいて来た。
饅頭の匂いに釣られたんじゃろうか?あ、こらこらそっちはまだ食べちゃ駄目だってば。
元々残り物じゃから数少ないんじゃよ。ほら、食べるんならこっちを食べる!
積み残して置いた饅頭をミラに与えると私は再び窓から見える月夜に見入っていた。
途中リーナが起きた気配がしたが直ぐに寝てしまった様じゃな。
★★★★
「グルルルル。」
ルゥスと『魔狼』達の戦いは一進一退を繰り返していた。
満月の光に照らされている彼らは強力めな『自己再生』能力が付与されているらしく、
魔力を纏ったセイバーで斬り付けられても傷の浅い者は直ぐに回復してしまう。
「やはり戦いとはこれ位は歯ごたえが無くてはな。『船蛸』も悪くは無かったが。」
と右手にセイバーを持ち替え、左手で腰の後ろのフォルダーに収めている
予備のセイバーを引き抜き魔力を通すと赤き刃の二刀流として構えなおす。
「さて。我が『剣舞』が何処まで通用するか、見せて貰おうかっ!!」
かくして『魔狼』達とルゥスの激闘はさらに続く。
ソラ達が戦闘シーンやっている訳ではないので戦闘シーンという予告は前回しませんでした(ぉ。リーナが起きたのは乙女ゲーム部分でソラとミラのお月見のシーンがスチルの中にあった事を思い出したから。




