ドワーフのお誘い
どうやらクエストの勧誘だった様です!?
銀色の狼だから『銀狼』。聞いただけでは安直な存在だが
魔物としてみたらそれはまた格別な意味を持つんじゃよな。
ヒューイやミラの様に『白』色を纏うモノ達は基本的には
お日様、すなわち『陽』や『神聖』なる存在に連なる存在であると言える。
まぁ中には『白』を纏いながらも『陰』や『闇』に通じるモノもおるがな。
例えば『狐巫女』なんかはそれに該当するらしいがの。
『銀』を纏った『銀狼』は『狐巫女』同様に魔物としては異質な存在であり、
生きながらにして金属としての『銀』の特性持ってるらしくての。
『銀製品』が魔物に対して有効なのは神の祝福あってのモノダネでもあるんじゃが
あやつらデフォでその神の祝福を受けた状態にあるんだとか。
まぁこの場合は神と言っても狼の神様の祝福であってヒトの神様の祝福では
ないらしいがの。兎に角そんな状態だから通常の武器じゃまず歯が立たないんだとか。
傷付けられるのは同種か、掛かってる祝福以上の祝福を授かられた『銀』の武器
とかそんなん位しか無い。その辺は私が元生きてた世界の魔物の『銀狼』とほぼ同じじゃな。
魔法もしかりで初期魔法なんかじゃ下手すると反射されて撃ち返されるとの事。
つかそれってもはや『魔物』とかじゃなくて『聖獣』の部類なんじゃ!?
と突っ込みたくもなったけど、それでも『魔物』扱いなのは変わらないらしい。
唯一の救いは圧倒的に出現率が低い事。ナマモノである以上は繁殖もするし
普通に寿命で死ぬが集落近くに巣くられた方はたまったもんじゃないわな。
いくらドワーフらが武器製造とかに向いてるとは云っても祝福された武器なんて
ホイホイと手軽に作れる訳じゃぁないらしいし。
「あんなん通常武器にもならん。普段売れん物造ってもなぁ。」
とドワーフのおっちゃんがブツブツ文句を言っていったわ。
「つーわけでだ。龍の雛持ちなリーナさんも居る事だし、あんたらこの『クエスト』が
一息付いたらワシらの村に来てくれんか。」と提案された。
正式な『錬金術師』と比べたら卵なミィナ達使った方が安く済むのは分かるけど
いいのかな。『召喚術師』の卵をホイホイ使って。
そりゃまぁ龍の雛持ちのリーナも居る事だし戦力的には申し分無い事は分かるんじゃがな。
「それに『銀狼』の事良く知る機会だぞ?将来の『召喚』に役立つんじゃないかね?」
とニヤリと笑われたらミィナ達も顔を見合わせるしかない。
召喚の基本は良く相手を知る事でもある。学園の封印された召喚魔法陣みたいに
良く相手の事知らなくても召喚出来る様な術を持ってない卵な連中に取っては
魅力的な案件の一つじゃろうよ。
かくして私らはドワーフ村へと行く事が決定事項となったのじゃった。
和洋ちゃんぽんなだけに属性絡みの表現が難しいですね。『狐巫女』が『陰』とされるのは男性を『陽』とするからでもあるらしいです。