前夜祭(前編)
仮装集団と遭遇する様です。
いよいよ明日は山に向けての出発の儀式なのじゃ。
って事で今夜は村をあげての前夜祭・・・なんじゃけどのぅ。
村ヒトの子狐A「悪戯されたく無ければ飯よこせーーっ!!」
村ヒトの子狐B「んもう、飯じゃなくてお菓子だってば。」
村ヒトの犬っ娘C「骨っこでもいいから頂戴ーっ!!」
村ヒトの子鳥D「ZZZ」
エルフの娘E「ほらほら起きなよ。こんな処で寝ちゃ駄目だって。」
なにこのカオスなコスプレした色んな種族の子どもらの集団わ。
多分『ハロウィン』なノリな祭りなんじゃろうけれども
衣装が全員チグハグな上に妙にボロっちぃ気がするんじゃが。
あれか?前夜祭なだけに開村前夜の情景を忘れない様にする為の
記念行事か何かがごっちゃになってるのかの?
ミィナと夜の見回りの特別クエストやってたら
さっきからこんな子どもばっかの集団と遭遇しまくりでのぅ。
クエスト前に籠一杯のお菓子やらを渡されたと思ったらこの有様じゃよ。
この調子じゃ他の所を回ってるアンヌやリーナやキィーロも
子どもらの突進アタックに見舞われ捲ってるかも知れんな。
村ヒトの子狐F「あれー?ルゥが居なくなっちゃった!」
げ。案の定というかハグレな子が出ちゃったみたいなのじゃっ!!
村ヒトの子狐ら「「「えぇー!?さっきまで一緒に居たのにっ」」」「Z。」
エルフの娘E「もしかしたら田んぼの方への道にいっちゃったかも知れないよっ」
慌てふためく子ども達を宥めすかしつつも困り顔のミィナが彼らの暴走を抑えてる。
「ま、待って、待って。皆バラバラに動き回っちゃ駄目だって!!」
仕方がない。ここは私がひと肌脱ごうでは無いか。
私はミィナの片脚を軽く足で突っつき彼女の注意を引く。
「どうしたの?ソラ。もしかしてあなたが探してきてくれるの?」
コクコクと頷く私。『MAP』使えば逸れてるであろう1個の黄色い点を探せば
いいんじゃしある程度は絞り込める。後は種族さえ教えてくれればもっと早くなるのじゃ!!
村ヒトの子狐A「ルゥはおいら達と同じ狐ヒトだよっ。ってその『玩具』が探すの!?」
・・・そぅそぅこの狐の『玩具』が。って文句とか聞いてる暇はないのじゃっ!!
服装は多分こやつら同様ボロっちぃチグハグな衣装着てるだろうから判別は逆に付きにくい
じゃろうが名前と種族だけでも分かってれば御の字じゃっ!!
私は『突進』も使って走りつつ『MAP』を見つつ索敵範囲内の黄色い点の集まり具合を見る。
(む。あの黄色い点だけ皆より離れた場所に居るのじゃ。多分あれじゃな。)
その逸れた狐ヒトの子どもは泣くでも無く、ちょっと村から出た田んぼへの辻の所で
空に浮かぶ月を一人でぽつんと見上げていた。
(やれやれ。用水路とかに落ちてなくて幸いじゃったのじゃ。さて。どうしたものかの?)
私は意を決すると『変化』を使い狐ヒトに変化すると巫女服を着て驚かさない様に近付いて行った。
やってしまった感満載ですが『ハロウィン』ネタまでぶち込んでしまいました。意味というか意義は違う部分がある様ですけどね。そして何故ソラはよりによって狐『巫女』モードをあえて選んだのか。謎を生みつつ次回に続きます。




