縁日
腕を競う場でもある様です。
船を乗り上げさせている浜辺からちょっと離れた浜辺にその華やかさは存在した。
海に生き海で生涯を閉じた者達を慰め鎮める為の仮初の小型の『都』。
それが所謂『海鎮祭』のもう一つの姿でもある。
無論、町の方でも『祭り』は開かれているが、こちらが本命であったりする。
まぁこれは私の居た元の世界の知識の受けおりじゃから
こちらの世界で総てが適応出来る訳では無いが、似た様なもんじゃろ。
こちらの会場では主に町の外から来た連中が思い思いに派手目な露店を開いておる。
新商品を流通させたい駆け出しの商人から職人やらから古参らしい一般人等々
が売りに出している品物も多いらしくミィナやアンヌに取っても見所満載らしい。
ミラを抱えたリーナやキィーロやホバリングしてるヒューイにも
その視線の食い付きっぷりを呆れられている位じゃわ。
そしてやはりというか一番多いのが食べ物関係の露店じゃな。
海の幸は勿論の事、山の幸から何から創作郷土料理までと種類も豊富。
流石にお稲荷さんは見掛けなかったけれども船蛸使ったたこ焼きもあったな。
中まで火が通った昔ながら駄菓子屋さんのタイプから中身がトロっとした
タイプや中身が異なる変わり種までと種類も選り取りみどり。
後は学園祭で見かけた綿菓子を売ってる露店やいろんな形や味の飴や
野菜や果物なんかを模した米粉菓子みたいのからお饅頭等々・・・
揚げ物とか練り物とかも食べやすそうなサイズで売ったりしとったな。
こうなってくるともはやお祭りというよか見本市みたいな気もしないでもない。
食べ歩いてる連中の中には明らかに食道楽な目的以外なのが紛れ込んどる様じゃし。
あれはどっかの料理人かの?さりげなさそうに調理の様子を伺ってるわ。
うぅ。お祭りだけに私もいろいろ露店見て回りたいんじゃがそうもいかんのじゃよなぁ。
なんてったって私『玩具』だし。流石に売り物と勘違いされる事はなさそうじゃが、
念の為にミィナに抱え込まれておるんじゃよ。歩かなくて楽なのはいいがな。
お陰で露店の売り物が良く見えるんじゃから余り贅沢は言えんのではあるが
(私も買い食いやってみたいのじゃーー!生殺しはヤダーーーーッ!!)
「あ、ソラ、見て見てっ!!狐の玩具っ!!」とミィナが教えてくれた先には
(へー。良く出来た木の・・・初期な頃の私そっくりな狐っこじゃねぇ。)
ってマジで似たの売ってるんかぃっっこの世界!!!!
玩具扱う露店じゃ縫いぐるみやらのお人形さんの方が人気らしいが売り物として
似た姿のが売られてるのを見るのはなんか感慨深い。
まぁ『狐メイク』が施してある様な用途が絞り込めそうな玩具までは
売ってなかったみたいだけど露店のヒトにはちょっと怪訝な顔されてしまったかも。
ぐぅ。暇というか隙見付けたら露店めぐりしてみたいのじゃ。夜もやってたりするんじゃろか。
お祭りと言ってもフリーマーケットの拡大版みたいなモノなのかも。ソラ似の玩具の出し所に悩んでたんですが縁日なら売っていてもおかしくはないだろうという事でようやく日の目を見る事に(ぇ。学園のある街でも売ってたりはしてるかも知れませんけどね。




