お駄賃と宣伝と
商売上手なハーピーさん達だった様です。
ピュイピュイという華やかな声と共にぎゅぅと目を閉じた
リーナが2羽のハーピーに抱えらえる様にして下船して来た。
「着いたよー。」「着きましたですよー。」
地上に降ろしてもらって一安心したリーナが
彼女らにお礼を言っている。
「はぁー。助かったわ。ありがとうー。」
私の頭の上で顎を載せてまたモヒカンもどきになってた
ミラが頃合いを見計らってたのかひょいと私から降りると
スタスタとリーナに歩み寄っていく。
「どぅいたしましてー。」「どういたしまして。」
と返してるハーピー達。
あ。今更じゃけどもハーピーな方々もちゃんと服着てるからの?
上半身すっぱだかなんて事はなくてワンピースみたいのとかいろいろ
個人の好みのを選んで着込んでいたりする。
「あ、そうだ。貴方達お礼あげなきゃだね。」と復活したリーナが言った。
「お礼?」「お礼くれるの?」
と目をくりくりしつつ不思議がるハーピー達。
「お手数掛けちゃってゴメンね。お詫びと言っちゃなんだけど・・・」
とリーナは荷車に歩み寄ると分けて置いてあった自分の取り分な『素材』の中から
蛸足の切れを幾つか取り出し彼女達に惜しげもなく与えた。
「これ、手伝ってくれた皆に分けて上げて食べて。後これはワタシの運び賃よ。」
と腰のポーチモドキから幾何かのお金を出して2羽に上げる。
「いいのー?」「わーぃお駄賃貰ったー。」
とはしゃぎ回る2羽を地上から見上げるミラ。
アンヌがリーナに近寄って来て「いいの?」とか聞いてる様じゃが、
「いいのよ。ワタシに取ってもいい体験出来たんだし。」とリーナが嫌そうな
顔もせずに笑い顔で返してるのでアンヌも納得したのかそれ以上は突っ込まない。
彼女らは私ら同様に『クエスト』の消化でもお金は手に入れられる筈なんじゃが
個人的な礼ならお金を別に貰ってもいいんじゃろうな。余分に貰えて嬉しそう。
足で貰ったお駄賃を隅の方に纏めて置いてあった型や色の違う肩掛け鞄に
それぞれウキウキと突っ込んで仕舞い込んでたハーピー達であったが
「そーだ、宣伝ー。」「宣伝忘れてよー。」
きゃっきゃと笑う彼女らが思い出した様に囀った。
「向こうの浜辺でお祭りー。」「お祭りあるよー。」
と恐らくは自分のであろう肩掛け鞄を肩に掛けつつ空へと飛びだっていく。
「良かったら来てねー。」「来てねー。」
ちゃっかりとお祭りの宣伝をしつつ去っていく彼女らを見送ると
私達はクエストの凱旋所に行く荷車に随伴しつつ街へと戻っていく。
ふと船の方を振り返ると船の上でスケルトン達がこちらに向けて手を振っていた。
両腕が翼なハーピーさん達に似合うのはやっぱり肩掛け鞄だと思う今日この頃だったり。次回はお祭り回。




