帰還に向けて
一種の引き換え用品だった様です。
にしても船長なガイコツが言う『証』とは一体何の事を言うのじゃろう。
あの『船蛸』からのドロップ品扱いになりそうなモノといったら
相当限られるしの。『素材』となった特定の部位かの?蛸足の先っちょとか。
「あの。『証』とはこれの事でしょうか?」とミィナが持ち物の中から
恐る恐る取り出したのはあの『船蛸』の『魔石』であった。
『ソウダ。ヨクワカッタナ。ソレガセイカイダ。』
とちょっと嬉しそうな船長なガイコツさん。その調子じゃ結構な確率で
『素材』の部位の献上をいろいろ試されたんじゃろうなぁ。
『タコスミヤタコアシナドダサレテモワレモコマル。』
うんまぁそれらも『証』の類いではあるじゃろうし試されても仕方ないよね?
船長なガイコツが『船蛸』の『魔石』を求める理由は恐らく『船蛸』の復活の関係じゃろう。
あるとないとじゃ復活のコストというか手間が違うんじゃろうし。
『ソノマセキヲワガマエノツクエニオクガヨイ。デグチノトビラノカギヲアケテヤロウ。』
とミィナに促す船長。ミィナも皆に確認の為に首を巡らせる。
キィーロもアンヌもリーナも頷き返してOKを貰った事を確認して
船長の前の机にそっと置く。
「カチリ。」ほぼ同時に入って来た扉の横にあった縦のロープが引かれて
その上部に付いてた魚の模様が装飾された腕木の様な物のした半分が口を開いたかの
様な状態となって固定された様になった。
(ふむ?今ので出口の鍵が開いたという事なのかの?)
『アトハナンジラノスキニスレバヨイ。ワレハマタチョウセンシャヲマツノミ。』
と一安心したかの様にガイコツは黙りこくり、同時に『船蛸』の魔石も
机に引き込まれるかの様に静かに沈んでいった。
『-(イヤシノフミヲウケツゲシショウカンジュウヨ。ナンジノミチスジ二サチアランコトヲ)-』
恐らくは私だけに向けられた船長なガイコツの『念話』にはどこか安堵感の様な
物すら感じられた。
あのストッカーにどれだけの量の職の追加用呪文署とかが
詰まっているかまでは知らないが相当気になっていたのじゃろうな。
この世への執着を少しでも減らしてやれたというのであれば、
『巫女』という職を習得した私としてもまた僥倖であろう。
さて。後は甲板まで行って最後のお仕事を見守ったりしてやればこの船ともオサラバじゃ。
残りの行程は短かろうが気を引き締めていかんとな。
アレ?リーナの顔が笑いながらも引き攣ってる気がするんじゃが、気のせいかの???
もし仮に『魔石』を出すのも拒否した場合には縫い付けられてる剣を引っこ抜いた船長に襲い掛かられてました。さてリーナの引き攣りの笑顔の件も気になりますが次回は船からの退出です。どんな事になるんでしょうか(棒




