船長室にて
何かを出さないといけないようです。
船尾楼内部への階段を上がっていく。この階段室は隠し階段も兼ねており
今まで私達が通って来た船内のそれぞれの階層に出る為の扉も付いてたりする。
まぁいちいち船内を遠回りしたくないであろう船長やら向けの
ショートカット用の仕組みらしくて各階層からここへ入る為には
何かに偽装してあるスイッチのロックを解く為のカギが必要らしいがの。
ここから各階層へ出るだけなら船外の扉同様に一方通行で行ける。
海上でなら脱出路としても使えるかも知れんが今は特に開ける必要もないので
軽くギミックを見るだけでヒューイからカンテラモドキを受け取ったアンヌも素通りじゃ。
大船倉の斜め上、客室のあった階層上にある操舵室を横切りさらに上へ上ると
「ようやく甲板の高さまで戻ってこれたか。」と階段室から周りを見回した
キィーロが呟いた。明り取りな窓も多いし甲板に出る為の扉も見えるし
ようやくスタート地点近くに戻ってこれで一安心と言った所かの。
この階のかつては航海室だったであろう部屋は海図の貼ってあったであろう壁の跡やら
海図やらが入ってたであろう海図入れの引き出しが引っ張り出されたままの状態
で如何にも何かを取っていきましたよ的に取っ散らかったままになっていた。
ミィナ達もその乱雑な状態には顔を顰めるが、下手に弄って
元あったであろう状態に戻して後に続くヒト達の探索の妨げになる可能性も
事も考えて最低限の観察に止めてあえてそのままの状態にする。
この上が最終目的地となる船長室のある階じゃな。そこに居るのが・・・・
『ヨウヤクキタカ。チョウセンシャタチヨ。』
船長室の扉を開けた先の船長の椅子に座っていた船長の姿をしたガイコツが
(しゃ、喋ったのじゃぁぁぁぁぁーーーっ!?)
何か曲刀っぽいのが刺さった状態のまま椅子に縫い付けられているそのガイコツの
虚ろな目の奥には青い炎が宿っている様に見える。
ん。あの炎どっかで・・・。あ、そうか。あれは転生の時にも観た『人魂』ぽいのに
似てるのじゃ。という事はあれもやはり『人魂』ぽい奴なんじゃろか?
『リュウノヒナヲタクサレシモノヨ、ヨクキタナ。ソロソロダトハオモッテイタガ。』
と船長らしきガイコツが今度はリーナに向けて話しかけた。
お。流石に船長さんだけあってか礼儀正しそうじゃな。
しかしどうやら事前に突入は教えて貰えては無かった様じゃな。まぁ当たり前か。
公平を喫する為にも事前情報の交換はせんじゃろうしの。
つかどうやって話してるのじゃ?これもまた『念話』の一種だったりするのじゃろか。
『サテ。ナニカラハジメヨウカ?ノゾムノデアレバアイテトナルゾ?』
(椅子に縫い付けられるみたいなのにどうやってお主は戦うというのじゃっ!?)
と思わず突っ込みをいれてやりたくなったが向こうはあくまで真面目っぽいし
キィーロも無駄な争いはしなくて良いのだと判断したのか一歩前に出て丁寧に礼をした。
「初めまして。この船にお邪魔させて頂いてるここにいる者達の代表としてお伺いします。」
と無礼にならない様に顔を上げずに声を掛けた。まだ聞かれても無い名は告げてない。
『ソウカクシキバルヒツヨウハナイ。ブジニデタイノデアレバ「アカシ」ヲモラウノミ。』
と船長らしきガイコツがキィーロの聞きたかった事を察して先に答えの一部を告げた。
良かった。どうやら何か『証』を出せば戦わなくて済むみたいじゃぞ!?
ちょっとヒントが出ていますが船長なガイコツさんと戦った所でその場では勝てても本当に勝った事にはなりません。一応試練にはクリアした事にはなりますけどね。さて、『証』とは一体なんでしょう?




