宿借りしモノ(VS 船蛸 その6)
急所狙いだった様です
私が『船蛸』の蛸墨の硬化力をも利用して創り出したモノ。
それは剣の折れた切っ先を再利用した『槍』であった。
(本当は『軟化』も使ってもっと槍っぽくしたかったんじゃが形は2の次じゃ!)
スピードと角度は墨弾を足場として利用した『立体機動』で申し分ない。
地上ではキィーロが私に気を取られた『船蛸』の攻撃の隙を付いて
猛攻中なので、『船蛸』も残ってる脚でいなすのに精一杯のご様子。
アンヌやリーナ達も刺付き棍棒でキィーロの防御の手伝いをしておる様じゃし
このまま落下するだけでも目的はほぼ達成出来るが念の為じゃ。魔力を込めてからのーー。
(『槍術』『狙撃』『突進』!!!!うおおぉおぉっ!喰らえなのじゃーーっ!!)
かくして狐の形をした『槍』は狙いがわず『船蛸』の急所である眉間に突き刺さっていた。
ギュルオオゥゥゥッ!?!?!?船蛸が驚いて脚を蠢かす。
当たった衝撃で私を覆っていた薄い蛸墨が粉々になって細かく剥がれ落ちていく。
パカッと口を開け折れた剣の破片を放す。
そして突き刺さってる剣の破断面に4つ足を添えると
全力で蹴り飛ばして『立体機動』で『船蛸』から離脱した。
キィーロの足元近くに危なっかしくも着地した私はスキップしながら
方向転換し『前衛』の立ち位置に移動し立ち止まると攻撃態勢を整え直す。
「ソラ、何やってんのよ!?また無茶やって!!」とリーナが驚いた様に声を掛けて来た。
(ちーと口が変になりかかった程度じゃ。案ずるでないわっ!!)
私が上空へと蛸脚を使って駆け上がり落ちてくるまでそんなに時間は喰ってはいない。
(よもや急所狙いをしておったとまでは皆に気付かれてはおらんじゃろ。)
図体がデカいだけあって私の一撃では急所を完全に打ち抜けなかった様じゃが
明らかに弱って来ている。後一押しといった所かの?
「ソラっ!ホントに大丈夫っ?」と『後衛』に居たミィナも前進して来た。
キィーロが『船蛸』の眉間に刺さったままの剣の折れに目をやると
予備の剣を腰のフォルダーに収め、寄って来たミィナに
「ミィナさん、済まないがその棘付き棍棒を貸してくれないか。止めは俺が刺す。」と告げる。
「分かったわ。はい。どうぞ。」とミィナが持っていた棘付き棍棒を渡すと
キィーロがそれに竜気を込めていく。次の瞬間には彼は弱弱しく蠢く蛸脚には目もくれず
『船蛸』に駆け寄っていくとぴょいんと飛び上がり振り被った棍棒で
剣の折れを全力でぶっ叩いた。
ぎゅるおおおおおっ!!!!瞬間ピンと張った複数の蛸脚はグテッと直ぐに力尽き
船底に広がった状態で落ち着いた。
アンヌが思わずガッツポーズを取る。ど、どうやら『船蛸』を倒せた様じゃな。
ようやく『船蛸」倒せました。倒し方としては雑な気もしますが現状ではこれ位が描写の限界です。残るは真のラスボスだけ!ソラ自身を槍にしたのは単なる素材不足で他意はありません。




