宿借りしモノ(VS 船蛸 その1)
食材として美味しいらしいです
大船倉の仕切りを付き破って飛び出して来た『船蛸』の何本もの脚が
ミィナ達を狙ってうねりながら迫ってくる。
リーナがミラを抱えて飛び跳ねながらひょいと回避し
「ヒューイ!この明かりを持って回避しまくってて!!」
アンヌは持っていたカンテラもどきをヒューイに託しつつ
仕切りの破片なんかと一緒に迫って来てた蛸脚を棘付き棍棒で打ち返す。
ミィナはもう一つのカンテラもどきと一緒にキィーロに
怪我してない片腕で抱えられる様にされながら蛸脚の伸びてこなさそうな
所へと退却中。
一方の私はというと蛸脚と蛸脚の間を『立体機動』でジャンプしつつ
出来うる限り仕切りの破片を尻尾も使って邪魔にならない様に軌道を変え
ミィナ達に当たらない様に逸らしていく。
「ギュルルル。」3番目の大船倉内に溢れんばかりに巨大化していた
『船蛸』がその全容をほぼ私達の前に表した。
但し全部は入ってこれない様で身体の大半は壁の向こう側にある。
船尾楼への上り口は『船蛸』の背後の方なので戦闘の余波でぶっ壊される
心配はこれで無くなったものの、こちらも逃げ道に逃げるのには窮する事態となった。
(ボスからは逃げられないとは良くいったモンじゃ。まぁ逃げる気は無いがの!)
折角美味しい『素材』が向こうから来てくれたというのに
ただ単に尻尾巻いて逃げるのは勿体無いという物である。
ちなみに『素材』というのは主に『蛸足』じゃな。使われるのは『たこ焼き』
とか『たこ飯』とかいろいろ『食材』として多岐に渡るそうじゃが
皆の嫌われ者でないのはなによりじゃ。
まぁ獲って食われる方にしてみりゃたまったモンじゃないじゃろうから
こういう『船蛸』なんてモノが生まれてしまうんじゃろうがな。
ギロリ。表情こそ伺えないものの、やる気満々な『船蛸』の目線が
こちらへと注がれる。
「バシッ!!」脚の一本がミィナから離れ立ち位置を確保しようとしていた
キィーロへと振り下ろされるが当たる前に難なく躱される。
「ギュルルル・・・」今度は複数本の脚で持って攻撃しようと身構える『船蛸』。
ミィナ達が棘付き棍棒を身構え床に降ろされたミラが火炎玉ブレスをお見舞いすべく
相手を睨みつける。
さぁ、次はどんな『手』を見せてくれると言うのじゃな?
実際の『船蛸』は知りませんが多分味は真蛸とかと一緒な感じ。ふつうは大き過ぎると味は落ちるらしいですが異世界ですしね。次回に続きます。




