癒しの文の正体
新たな能力を手に入れる様です!?
私は最終確認も兼ねてミィナの顔を仰ぎ見る。
このまんま持って帰って凱旋所とかできちんと翻訳とかして貰っても良いのじゃぞ?
という意思表示も兼ねて。
(仮に私ばっか読めてもお主らが読めんのではどうしようもないではないか。)
私はヒューイの様に『念話』スキルは取ってないから
内容を伝えようにも身振り手振りとかで伝えたりせにゃならんのじゃがなぁ。
別にそーゆーのがメンドクサイとかいう訳ではないがやっぱ躊躇しちゃうわ。
だけれどもミィナからは反対の声は上がらなかった。
むしろやっちゃえ!とかいう感じの顔で見られたわ。
仕方がない。やれるだけやってみるとするかの?
右前脚を文面の右隅の余白に置き、魔力を注ぎ込む感じで込めてみる。
呪文書の類いにも似てるって言ってたよね?これって。
魔力込めすぎて吹っ飛んだりしなきゃいいけど。
(さぁその正体を我が前に表すがよいわっ!!)・・・なんちて。
ポゥ。余白部分が薄い金色の輝きを放ち始めた。
暖かい陽光を感じさせるその光はまるで光を纏った狐色の如く・・・っていうのは
いくらなんでも大げさに言い過ぎじゃと思うが嫌な気配はしない。
やがて白抜きの文字のガワの部分が余白部分よりも金色身を増して
まるで走査線が走るが如く模様の回路の中を輝きが走り回ると
意味を成すかの様に空中に文字が浮かび上がり始めた。あれが中身なのかの?
ミィナ達がその文字群に目を向ける。詠み人以外にも中身を表示するとは親切な機能じゃの。
「えっと。ソラ、これって私たちも内容読ませて貰ってもいいって事なのかな?」
とかミィナに言われたが私がこれを制御してる訳ではないので
好きにしてくれと言う意味でも「コクン」。と頷いてみる。
もしかしたら『声』に出す事に意味があるかも知れんのだしの。
ミ「『我が封印を解きし者よ 汝は求道者にして 豊穣を司る者を目指せし者なり
汝の求めに応じ 我 今こそ秘めし力を開放せん 我が秘めし力は
『癒し』の象徴たる『巫女』の力なり 汝心せよ 『癒し』は諸刃の剣なり
強き『祈り』は時として破壊の『呪い』となる。
願わくは 汝の心に何時までも『癒し』のあらん事を・・・』」
ミィナがそれを読み上げ終わると同時位にその文章は一つの光の塊となり
天井近くにまで舞い上がる。それと同時に私の足元に魔法陣の様な物が浮かび上がり・・・
光がその魔方陣の様な物に向けて降り注いできた。
アンヌが『癒しの文』の用途に思い至った様に驚いた様に言い放った。
「まさかこれ、職の追加用の呪文書の一種か何かなのっ!?」と。
なる程。要するにこれは私もお主達の様に複合職の状態になれる呪文書だった訳じゃな?
つー事は、私は『召喚獣』の他に『巫女』の力を手に入れたと・・・・。
それってひょっとして、私は『狐巫女』にもなってしまったって事なのかー!?
『癒し』の正体は単体の回復呪文でも良かったのですがそれをも扱う『職』の一つである方が文の価値を高めると判断してこういう形になりました。『土台』さえ整えてやれば後はソラの努力次第!って事で。




