カラクリ作動!
取り出すのも慎重にやるみたいです!?
アンヌがダイヤルとなった通信筒を紙の様な物に書いてあった通りに
右3、左2とキリキリと回してみる。しかしそれだけでは何も起きなかった。
あれ?と小首を傾げた彼女はダイヤルを確認し、回しなおして初期状態に戻し
通信筒に小さい刻印が刻まれてるのを確認すると右へ3回回した後、
グイッと押し込んでみた。
「コキン。」小気味よい音と共にダイヤル部がさらに押し込まれ
出っ張ってる部分がさらに引っ込んだ形になった。どうやらそれが正解らしいの。
気を良くしたらしいアンヌが今度は左へ2回回しさらにダイヤル部を押し込む。
「キンコン♪」という正解だと告げる音と共にダイヤル部は意匠と一体となった姿となった。
「カラクリ、カラクリ・・・。」壁の中から何かの作動音が漏れ聞こえてくる。
どうやら壁自体がストッカーになってるらしいの。
「ガションゲション。」という連続音と共に棚の上側の壁の板の一部が横にスライドすると
中から大き目の通信筒の様な物が現れ、それがパカッと空くと中から1本の巻物の
様な物が現れ横倒しになった状態で突き出された。
おー。と感心した様な顔でしげしげと機構を観察するアンヌ。
古びているが木で出来た歯車や何かが隙間から覗いてるのを慎重に見まわしてる。
「これはこの船が建造された時に追加された機構みたいね。
さっきの武器庫の隠しもこの機構を組み込んだ際に出来た隙間を利用した物みたいだし。」
ふむ?恐らくはこの部屋を造った時に組み込んだ物という事でいいのかの?
部屋を借りる者が存在を知らなくても勝手に警備して貰えるのであれば楽でいいんじゃろし。
アンヌが巻物を無視して周りの機構を先に調べているのは何もそれが珍しいからだけではない。
罠の類いが仕掛けられている可能性もあるからじゃな。
(これだけ大掛かりの仕掛けを仕込んでおいて物を取り出すのが単純ていうのも
余りない事じゃろうよ。うっかり引っこ抜いて全滅とか洒落にならん。
死こそが「癒し」なんていう罠だったりしたら知らんふりして元に戻した方が賢明じゃろうて。)
「ゴクリ。」とミィナやリーナ達が緊張して唾を飲み込むのを背にしつつ
ついにアンヌが巻物を掴むアーム状のカラクリ部分に目を通し、巻物みたいのを
手前に慎重に引っ張った。「コキ。」・・・・するするする。
アームからそろそろとそれを外すと「パクン。」と掴んでいた部分がゆっくりと閉まると同時に
「ガションゲション!!」と巻物みたいの排出する時以上の素早さでアームが引っ込み
あっという間に元の壁の状態に戻ってしまった。
もう動かない仕掛けを前にちょっとびびって毛を逆立ててたアンヌがほっと溜息を付く。
他の皆もほっとしとる様じゃな。後は巻物自体の罠とか用心するだけか・・・
航行中従者が居る部屋ならば安心度も高まりますしね。警備のお金をケチるのと仕掛けとどっちが高いかとか機構の整備はどうすんの?とか問題点もあるんでしょうけど。




