通信筒の正体
カラクリは一つだけとは限らなかった様です。
キィーロの傷の応急処置はほぼ完璧ではあったものの
『竜鱗』が抜け落ちるまでは傷が塞がった事にはならない。との事で
船から出た後に経過を診る事に相成ったのじゃ。
とりあえずは戦闘に差し支えの無い様にミィナがキィーロに
具合を確認しつつ包帯の巻き具合を調整しておる。
リーナの『翼変化』同様に一度発動させると暫く元に戻らないと
いうのもある意味不便ではあるがこればっかは致し方あるまいよ。
部屋の中には衣装入れやら武器の予備保管庫やらあったが
やはりというかぱっと見使えない様なボロ布とかばっかじゃった。
まぁアンヌやミィナ達にかかれば例えボロ布であろうが
回収出来そうな物は回収していくスタンスなんじゃがな。
私も予備保管庫のちょっとずれてた壁板とその後ろの隙間を
利用して『ストレージ』から出した剣を
そこから引っ張り出した様に装い皆の元へと持っていく。
「ふぇ!?」とミィナには驚かれてしまったが
アンヌやリーナは私が剣を持ち出した所の
隙間の存在がかなり気になったらしくそこを確認した後唸っておった。
リ「こんな所に隠し場所が・・・」
ア「これは引っ掛け用か何かかな?あの剣はかなり最近のみたいだし
誰かがここを探した時に置いてった物かも・・・」とか意見を交わしあってる。
(あちゃぁ。うっかりしておったが使える状態の剣が
そうそう都合よく転がってる訳ないんじゃったわ。キィーロに渡した奴は砕けてしまったから
残骸を『鑑定』されたとしてもそんなに不審には思われなかったかも知れんが・・・)
と冷や汗をかく羽目になってしまったが、例のヒントの信憑性を高める事には
成功した様で、2ヒト共『備え付け』になってる家具の隅々を片っ端から『鑑定』し始めてしまった。
「あった!これじゃない!?」とリーナがベットの横のチェストの右上隅の飾りを指し示した。
どうやらその飾りの真ん中の丸い意匠が押し込める様な構造になっているらしい。
アンヌが寄って行ってその意匠をポチポチと何回か押し込んでみたがスイッチの様でもないらしく
「うーん。」と唸って考え込んでしまう。
古びたベッドに腰掛け様子を見ていたキィーロがふと思い付いた様にアンヌに声を掛ける。
「アンヌさん、ひょっとしたらだけどその筒が『鍵』になってるんじゃないのか?」
とアンヌが片手に持っている通信筒に目を向けている。
「『鍵』って・・・そりゃ確かに『鍵』には違いないだろうけど・・・。あっ!そういう事ね!!」
とリーナが彼が言いたかった事に直ぐに気が付いた。
「アンヌ、それをその真ん中の意匠のとこに差し込めばいいのよ!!」と興奮して言い放つ。
アンヌはしげしげと手に持った通信筒を見つめるとヒントの紙みたいのを中に戻し、
凹でいる方を先に差し込んでみる。
スルスルと抵抗もさほどない感じで吸い込まれていくそれはやがて「カチり。」という音と共に
止まりまるでダイヤルのつまみの如くになった。
目を丸くして振り返るアンヌにガッツポーズをするリーナや笑って頷くキィーロや嬉しそうなミィナ達。
後はそれを回せば良いのじゃ!・・・所でなんでヒントの紙みたいの元に戻したんじゃろ?
剣の補給をどうしようか迷いましたが部屋の仕掛けを一つだけにするのもなんなのであえてソラの持ち物を出させました。廊下の途中で拾わせたりしても良かったかもしれませんね。




