突発ボス (VS海賊ゾンビ その3)
あれ?ボスの様子が!?
ゾンビィな手下の腕がブンと遠慮する事無く振り回されるが
魔力を纏わした尻尾でパシンと払いのけてやる。
既に生者としての意思も無いであろう彼らは自らの肉体が幾ら損壊しようと
意に返さない。動き続けられる限り行動を止める事は無いじゃろう。
そもそも今回ミィナ達が持ち込んだ武器が棘付きこん棒なのも
相対する連中が斬るのに適さない者ばかりだからである。
竜人であるキィーロや私はスキルである程度は対応出来るし
斬って切れない相手な訳ではない。
だが痛みを痛みとして感じにくい相手とかではその効果は知れている。
『玩具』である私もある意味あ奴らに近しい存在だからこそ分かるんじゃよな。
例え肉体ごと骨を断ったとしても動き続けれる限りはその動きを止めるのは
無意味に近いのじゃ。
だが決定的に違う部分もある。彼らは私の様に『魔力操作』は出来ないし・・・
手下ゾンビィは私の目の前で何の躊躇いも見せずに自らの片腕をもう片方の腕で掴むと
「ズボ。」と引き抜いて振り回しつつ私に叩き付けようとして来ていた。
(この様に自分の『パーツ』の損壊を気にする事なく『武器』として使えるんじゃよなぁ・・・)
私は余裕で尻尾で跳ね返してやるがミィナが「ひっ」とか呻いて余計に尻込みしてる。
私は尻尾剣やる時だって未だにこの身体から尻尾を外した事はないぞ?
やろうと思えばかつて前脚を外してみた時みたいに外す事は可能じゃろうよ。
手下ゾンビィらの様に外した部位を独立した『武器』として使う事も不可能ではあるまぃ。
じゃがそんなんは本当の最後の手として使うしかない場面まで取っておくべき様な
『切り札』じゃ。手下ゾンビィがやってみせてる様なお手軽な技であって良い訳ではない筈。
(・・・なんにせよその『腕』はお主の『身体』の一部なんじゃぞ!?)
例え倒されて砂に還り再び挑戦者達の前に立つだけの『駒』の一つでしかないとしても。
(もう少し『自分』の身体位大事にせんかーーー!!!!!)
私は思わず全力でそいつに対し体当たりし尻尾でその頭をおもいっきしぶん殴っていた。
あ。ついうっかりクリティカルヒットしちゃったみたいなのじゃ。
首も据わっていない様な死人の頭を横からぶん殴ったらどうなるかって?
すっぽーんと飛んでいきましたですよ!?首が。
それも・・・丁度よろけてきていたもう1体の手下ゾンビィの顔に向かっての。
ついさっきまで半ばギャグシーンと化してたこの場で次に起こる事といったら分かるじゃろ?
もうね。ギャグで魔物倒す事なんて事態はこれっきりにして欲しいのじゃ。
吹っ飛んで来た頭で頭同士が粉砕されるとかアレがギャグでなくてなんだと言うんじゃ。
砂となって溶けて消えていくあやつらに心から合掌しておいてやるのじゃ。
ミィナ達も心なしか唖然としとった様じゃがあんなん倒され方は私も嫌じゃな。
「ぱち ぱち ぱち。」誰じゃ。気ぃ抜けた様な音で手ぇ叩いておる奴は。
あ。海賊風ボスの事忘れてた。ようやくお主の出番か。
似て非なるモノ同士の戦いって何かやりにくいですね。ソラは『生きている』ので自分の『パーツ』を
粗末には使いたくは無いでしょうし『パーツ』を取り外して武器とする様な戦わせ方は極力やらせない心算ではあります。




