荒事 その①(VSスケルトン)
突入は無料では無かった様です
今私達は一番人気のガレオン船タイプの大型船に取り付いている。
え?何か表現がおかしくないかじゃと?
おかしいもおかしくないも文字通りの意味で取り付いておるんじゃよ。
動けなくする為に浜にめり込ませるのは良いんじゃが、
乗り込む側が船に突入するに当たってはハーピー達らに協力して貰って
船の甲板とかに太目のローブを撃ち込んだりしたのを上っていかなきゃいけない訳で・・・
ミィナ達は絶賛ロープ登り中じゃ。私もじゃがな。
ヒューイは頭上の方でロープ切ろうと出張って来てるスケルトン達を
突っつき回したり突撃して体当たりして妨害しまくっとる。
ちなみにこのロープは買った物なので斬られて落ちてしまっても
買い直せば良いのじゃが、ちゃっかりしてるのかロープ専門の露店が
船の下辺りまで出張っているんじゃよなぁ。
品質誤魔化して掴んだ途端にブチ。なーんて事企む様な輩は流石におらん様ではあるがの。
私は『浮遊』使えば侵入は超簡単なんじゃが、流石にミィナ達ばかりに
苦労させるのも悪いんでロープ抱えておいっちにおいっちに。と登ってく。
ここで一番苦労してたのはアンヌじゃな。ヒューイに指示飛ばさにゃいけないし、
気ばっか焦るしでスルスル登ってったミィナやキィーロや
頭にミラを乗っけたリーナより遅れて甲板に上がって来てた。
「カタカタカタ。」何がツボに嵌ったのか笑ってる様な音を立てながら
ヒューイに蹴散らかされバラバラになったりしてたスケルトン達が態勢を立て直しつつ
私達の前に立ち塞がる。
こやつらは突入したヒト達の情報によると得物は剣や大型のナイフが基本。
ま、船乗りが元になってるだけに獲物が限られてるのは有り難いかな?
上級なのになると弓とか魔法とか撃ってくるそうじゃから油断は出来んがの。
「カタカタカタ。」無謀にも突っ込んで来たスケルトンの一体の斬撃を避けつつ
キィーロが「ガシャ!」と握った左手でその顔に大穴を開けて打ち倒す。
バラバラになったそのスケルトンがスゥ。と溶け込む様に甲板に消えていく。
残されたのは古びた剣だけだったがあっという間もなく
砂状になって跡形もなく消えてしまっていた。
む。ひょっとしなくても倒すだけ無駄って奴なのかの?やっかいじゃの。
「カラカラカラ。」1体が倒された事などまるで気にもしない様に佇む残りのスケルトン達。
全員でいっぺんに突っ込んでこなかったのは多分、ミラがいるからじゃろうな。
(船内に突入するにはこやつらをぶっ飛ばせばいいんじゃろうが、
恐らくは船内で復活して襲ってくるだけの事に違いないんじゃろうし、どうしたものか。)
とスケルトン達を見回す。
「カタカタカタ。」こちらの考えを見透かしたかの様にスケルトン達が打って出てきた。
連携とも言えない出鱈目な斬撃の波状攻撃がミィナ達を襲う。
そりゃまぁ術者とか司令塔を狙うのは常識なんじゃろうけども
私ら『召喚獣』だって全力で抵抗するのは当たり前。
骨が砕け散ったり火炎球に焼かれたりな反撃の前にあっては瞬く間に見た目の数を減らしていく。
「今の内に船内に突入しましょう!」とある程度減らした時にリーナが入口を指さし叫んだ。
ふと甲板を見るとあちこちの隙間から立ち上がった小さい白い煙が
スケルトンな姿へと形を成し始めていた。
どうやら中に突入しない場合はそうやって復活し続けるのであろうと判断し
私達は船内へと歩を進める事にした。
帰る時は帰る時でロープを斬られたりしてしまったりするのでそれを見越して露店が出張ってたりしてます。運が良ければハーピー達に降ろして貰えたりするかも。