完璧より程ほどを
御眼に叶った様です。
犬耳のおっちゃんの言った事を纏めると「やり過ぎるな。」の一言に尽きる。
学生や駆け出しの冒険者達が陥りやすい落とし穴の一つがそれなんじゃと。
例えば『採取』一つ取って見ても、つい『品質』に拘ってしまう点。
村や街で消費されている『薬草』やらは何もランクCの物だけではない。
通常ならば不合格とされるランク以下の物であれ商品として流通しているのだと言う。
ミィナ達の様な『生産』に関わる様な者ならば『常識』ではあっても
それ以外の者達はつい見逃してしまいがちな部分なんじゃそうだが。
まぁ戦争とは言わないまでも戦闘やら迷宮攻略をしてる様な者達にとっては
品質が悪い=命に関わりかねない部分もあるかもしれんな。
そういった前線に付いてる様な者ならば安かろう悪かろうとかいう感じの
固定観念みたいのが身に付いてしまっていても致し方あるまい。
だが一般市民はそうも言っていられない。いくらクエストの凱旋所やギルドが
門戸を広く開けているとは言え、そうそう無理が利く訳も無く。
安くて効きが悪い品質の悪い『薬草』であろうが
回復薬であろうが使える物は何でも使う。
それは恥でもなんでも無い。「生活の知恵。」なんじゃそうじゃ。
魔梟が非『解体』推薦なのは、持ち込む者の『解体』レベルが毎回バラバラである事や
羽毛が矢の羽の素材として適してる事や砂嚢に溜まっている魔石やその破片の回収を
個人に任せるよりも集約してやった方が効率が良い事もあるらしいがの。
因みに羽手裏剣分は換羽時用の予備の羽根が元だという事で
買い取りするよりもそのまま所有する事を勧められた。
個人間での素材の交渉時に使うも良し、自分の矢の補充や何かの修理に使うも良し。
「ただ魔梟に対して投げ付け返した例は初めて観たがな。」とカラカラと笑われてしまったがの。
本式な手裏剣なんかに比べりゃ威力も持ちも落ちるじゃろうがナイフ以外の投擲武器が
手に入ったのは有難い。その内食器なナイフでも買って貯めておくかの。皿は・・・止めておくか。
こうして教えて貰えるという事はソラがそれなりに認められたと言う事。同時にクエストの凱旋所としては素材の確保の枠を広げられる可能性も得られた訳です。ソラ「ちゃっかりしてるんじゃな。」




